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【The Second World War】「TSWW:Day of Infamy」What If Wake Island Relief Operation Solo-Play AAR Part.2

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では仮想・第二次ウェーク島攻略戦、開始。まだまだ練習ソロプレイなので、VASSAL上で考えながら部隊を動かし、その手順を記録していこう。

1941年12月前半ターン。先手、日本軍の移動フェイズから。すでにウェーク島近海に到達していた第2航空戦隊から、A6M2こと零戦0.5ステップ(20機相当)、D3A1 Valこと99艦爆0.5ステップ✕2(40機)、B5N2 Kateこと97艦攻0.5ステップ✕2(40機)が作戦爆撃任務に発進。その目標は、第一次攻略戦で日本軍を撃退した、ウェーク島の沿岸陣地(レベル5=砲撃力10、重巡加古・古鷹、衣笠の砲撃力11と同等)である。最も航続距離が短いのは99艦爆(航続距離15)だが、ウェーク島までは3ヘクス飛行するものとし、額面航続距離の1/4以下なので、近距離爆撃=爆撃力+50%とする。

これに対してウェーク島守備隊のアメリカ軍も、迎撃にF4F-3ワイルドキャット0.25ステップ(なにせ稼働機が4機しかない)が発進。日本側航空部隊は、護衛グループ(零戦)と、任務グループ(99艦爆97艦攻)に分かれるが、迎撃側F4F-3は、まともに護衛の零戦隊とやり合ってもいいし、真っ直ぐ爆撃機隊に向かってもいい。ただ後者の場合、爆撃機隊に向けて空戦を行う前に、護衛の零戦隊から射撃を受けるので、あまり望みは無い。ということで、F4F-3は零戦隊と空戦に。零戦は、空戦攻撃力4・防御力3。F4F-3は、空戦攻撃力2・防御力2(機数が少ないので戦力も低い)。両軍の練度を表す、1941年の海軍戦闘補正(NEM)は、日本軍が+2、アメリカ軍は0。空戦は同時解決だが、零戦隊は、戦力差+2、ダイス修整+2、ダイス目9で修整後11、結果は相手方の「1」ステップロスでF4F-3を撃墜した。対するF4F-3は、戦力差-1、ダイス修整0、ダイス目4で「R(帰還)」となり、零戦隊は無傷で帰投した。

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さらに第2航空戦隊上空には、CAP(戦闘上空哨戒)の零戦を0.5ステップ配置。航空巡洋艦利根・筑摩のE13A1 零式水偵は待機。呂号潜水艦戦隊は、このメガヘクス内に哨戒ゾーンを形成し、敵艦隊が進入次第、それを観測し、攻撃する構え。そして(上の写真では隣のヘクスに表示しているが)ウェーク島ヘクスには、艦砲射撃を行う第6戦隊、第6水雷戦隊と、上陸部隊が移動してきている。

作戦爆撃任務の解決は、移動中どこでもいいので、とりあえず移動が終わった段階で、沿岸陣地への爆撃を判定してみよう。沿岸陣地に対しては、8爆撃力を投下する毎に1ヒットを与えられ、沿岸陣地レベルを1下げるには、2ヒットが必要となる(ただしこのターンのみ。恒久的なダメージではない)。97艦攻の作戦爆撃力は3、99艦爆の作戦爆撃力は2だが、近距離爆撃なので+50%となり、それぞれ爆撃力は4.5、3となる。さらに99艦爆は、タイプD=急降下爆撃機なので、作戦爆撃任務では爆撃力+50%となるため、結果4となる。それぞれ2ユニットずつあるため、4.5+4.5+4+4=合計17作戦爆撃力となり、これがすべて投下されれば2ヒット、沿岸陣地を1レベル下げられる。

ただし爆撃の前に、対空射撃を解決しなければならない。沿岸陣地は、本来ならレベルの1/2の対空力を持つため、ウェーク島の沿岸陣地は対空力2.5を持つはず。しかし、カウンターの右上には対空力を表す「1」という数値があるため、今回はこれを適用する。たぶん海岸砲に比べて、対空砲が少ない陣地なのだろう。そして対空力1、海軍練度補正0では、当然のようにハズレ。

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これによって17作戦爆撃力が海岸陣地に投下され、そのうち16爆撃力によって2ヒットが与えられた。余り1作戦爆撃力に関しては、100面体を振って12以下なら1ヒットを与えるものとする(1/8=12.5)。そう、そこまでやるのだ。まあ、出目は39なので、これはハズレ。沿岸陣地は、1レベル低下となった。

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日本軍の移動が終わると、今度はアメリカ軍の移動である。空母エンタープライズ隊は、第2航空戦隊に隣接する海上ゾーン(メガヘクス)まで接近。索敵任務としてF4F-3スコードロンを発艦させた。索敵範囲は1海上ゾーンであり、10面体ダイスを1個振って8以上なら発見となる。ダイス目には、海面状況、海軍効率補正(NEM)、観測修整が加わるが、今回の場合、1941年の連合軍空母の飛行任務+1しかつかないため、7以上が出ないと第2航空戦隊を発見できない。そしてダイス目は4。空母エンタープライズ隊は、第2航空戦隊を発見できず、いったんウェーク島沖から退避した。ううむ、1941年のアメリカ海軍はこんなものか……(1942年から海軍効率補正+1もつく)

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代わって、空母サラトガ隊がウェーク島ヘクスに接近し、やはり索敵にF4F-3を発艦させた。1海上移動セグメント中には、特定の1海上任務グループしか索敵できないため、空母サラトガは、日本軍上陸船団の索敵を行った。こちらも発見の確率は同じながらも、ダイス目は9。これにより見事、日本軍上陸船団を発見してしまった。当然、空母サラトガから、SBD-3ドーントレス爆撃機0.5ステップ✕2(40機)、TBD-1デヴァステーター雷撃機0.5ステップ(20機)が、海上爆撃任務として発進した。

ここで、さらに攻撃隊が上陸船団を発見できたかどうか判定する。10面体ダイス1個振って、6以上なら成功だが、ダイス目は7。サラトガ艦爆隊は、上陸船団を捕捉した。

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サラトガ隊は、TBD-1を駆逐艦睦月に、SBD-3を輸送船団に向けた。日本軍は、主力艦1+巡洋艦1+駆逐艦1までの対空力を合算できるが、あいにく駆逐艦睦月は対空力0(カウンター左下の左の数値)。仕方なく輸送船団の対空力1で迎え撃つが、効果は無かった。

SBD-3は、作戦爆撃力3だが、近距離爆撃(+50%)と、急降下爆撃機による作戦爆撃任務(+50%)で、結果6となる。さらに対艦・急降下爆撃は、成功のダイス目修整+2が加えられる。TBD-1は、コードV(対艦魚雷装備)なので、魚雷力3となる。

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結果から言うと、サラトガ隊の攻撃は大当たり。TBD-1の魚雷攻撃は、判定3回のうち2回命中し、さらにヒット判定で2ヒットを駆逐艦睦月に与え、これを撃沈。SBD-3も、それぞれ判定を6回行い、それぞれ4回ずつ爆撃を成功させ、海上輸送4ポイント(防御力3なので2ヒットで1輸送ポイント撃沈)をすべて撃沈した。第2舞鶴陸戦隊も、第4工兵連隊もウェーク島沖で海没……

いや、正直ここまでアメリカ軍の攻撃が成功するとは思わなかった。なにしろ、先に書いたように、艦隊索敵(40%で成功)と攻撃隊索敵(50%で成功)に成功する必要があるため、アメリカ軍が爆撃を行える確率は20%しかなかったはず。エンタープライズ隊のように、索敵段階でしくじるのが普通なのだが、そこからさらに命中、輸送船団を全滅させるとは……。かなりダイス目にも助けられたが、アメリカ軍にとっては会心の一撃真珠湾の復讐である。

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さて戦闘フェイズ。ウェーク島ヘクスに到達した第6戦隊・第6水雷戦隊は、本来なら、この後に控える強襲上陸に備えて、上陸艦砲支援射撃(AGS)を行うはずだった。しかし上陸船団が壊滅してしまったので、沿岸陣地を砲撃しても仕方ない(ヒットは与えられるが、あくまでこのターンだけの一時的なもので、恒久的なダメージにはならない)。

しかしそこは練習ソロプレイ。もしウェーク島の沿岸陣地に対し、上陸艦砲支援射撃を行っていたらどうなるか、計算してみよう。各艦艇の砲撃力は、カウンター左上に記されている。第6戦隊・第6水雷戦隊すべての艦艇の砲撃力を合算すると、合計76。この砲撃力を8で割った数値が、沿岸陣地に与えるヒット数となるが、観測用の水偵があれば、6で割れる。幸い、4隻の重巡には、観測用の水偵が搭載されているため(カウンター中央下のFがそれを示す)、76÷6=12.66となり、確実に12ヒットは与えられる。沿岸陣地はすでに爆撃によって2ヒットを被っているため、合計14ヒットとなり、7レベルダウンし、このターン中はもはや機能しなくなったはず。

対する沿岸陣地も、先の爆撃によって1レベル下がった4レベル陣地として8砲撃力で、駆逐艦に撃ち返すだろう。

いや待て。ということは、第6戦隊・第6水雷戦隊だけで、5レベル沿岸陣地を潰せたということか。まあ、そういった計算も、本来は事前にやっておけという話だが、まだ「合計砲撃力÷8(または÷6)=与えるヒット数」という計算式が頭に入っていなかったので、これからは気をつけよう。またこの計算式は、地上ユニットを支援する戦闘艦砲支援射撃(CGS)でも同じで、「合計砲撃力÷8(または÷6)=地上ユニットに加算する戦力」となるので、覚えていた方が良さそうだ。

だとすれば、第2航空戦隊の爆撃は必要なかったわけで、むしろ日本軍も、蒼龍隊・飛龍隊に分かれて、それぞれエンタープライズサラトガの索敵・攻撃に向かわせた方が良かった? または、第2航空戦隊と輸送船団を合流させて、零戦2ユニットでCAP(戦闘上空哨戒)をした方が良かったかも。まあ、今さら後の祭りだが、あまり最初から理詰めで計算してプレイするよりは、むしろこれぐらいの被害が出ると分かった方が今後の参考にもなるしね。 

とにかく上陸船団が壊滅した今、日本軍のウェーク島占領の道は断たれたし、戦力の喪失という意味でも、勝利ポイント的に負けている。ならば日本軍としては、これからアメリカ軍艦艇を撃沈し、巻き返すしかない。逆にアメリカ軍としては、このまま退避しても引き分けに持ち込めるが、さてどうなるか……


【The Second World War】「TSWW:Day of Infamy」What If Wake Island Relief Operation Solo-Play AAR Part.3

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さて、1941年12月前半ターンの日本軍移動フェイズ、戦闘フェイズに続いて、突破フェイズ。つまり移動フェイズ=第1海上移動セグメントに続く、第2海上移動セグメント。復仇に燃える日本軍は、第6戦隊・第6水雷戦隊をまとめて、空母サラトガ隊の捜索に投入。合計駆逐艦10隻を含むこの海上任務グループは、索敵に+3修整が得られたが(駆逐艦3隻ごとに+1修整、最大+3まで)、ダイス目が低くこれに失敗。同じく呂号潜水艦戦隊も、サラトガ隊の捜索に失敗してしまった。うーん、もしかして第6戦隊(索敵修整+1)、第6水雷戦隊(索敵修整+2)で、2回判定した方が良かったかも。

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一方、第2航空戦隊も、零戦0.5ステップをCAP(戦闘上空哨戒)に上げつつ、航空巡洋艦利根・筑摩の零式水偵を発艦させ、エンタープライズ隊の捜索に向かわせた。しかしこの水偵隊も索敵に失敗。日本軍に、さらなる嫌な予感が漂い始めた……

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代わって、突破フェイズ=第2海上移動セグメントのアメリカ軍の移動。空母エンタープライズ隊も、第2航空戦隊の索敵にTBD-1を発艦させた。しかしこちらも日本軍を発見できず。ええい、どっちもヘタクソか! でも空母戦ってこういうものよね。

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そして殊勲の空母サラトガからも、索敵にTBD-1が発艦。すると、またしてもこれが日本軍艦隊(第6戦隊+第6水雷戦隊)を発見。早速、空母サラトガから攻撃隊としてSBD-3 0.5ステップ✕2が発艦した。そして攻撃隊の索敵判定も、またもや成功。サラトガ隊は、20%という確率ながらも、続けて日本軍艦隊の攻撃に成功したのだ。そして上空直掩の無い日本軍艦隊にSBD-3が舞い降りた……

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重巡洋艦(CA)4、軽巡洋艦(CL)3、駆逐艦(DD)10という大所帯めがけて、SBD-3が迫る。しかし大所帯ながらも、日本軍が対空力として合算できるのは、主力艦(巡洋戦艦以上)1+巡洋艦1+駆逐艦1の対空力まで。対空力は、カウンター左下の左側の数値だが、駆逐艦はまったく対空力が無い。そのため重巡洋艦1隻の対空力1で射撃を行ったが、当然のように効果は無かった。ちなみに軽巡洋艦(CL)の対空力「*」は、0.5、2隻あれば「1」として扱うという意味である。

前回同様、SBD-3は作戦爆撃力3だが、近距離爆撃(+50%)と、急降下爆撃機による作戦爆撃任務(+50%)で、作戦爆撃力6となり、6回爆撃判定が行える。10面体ダイス1個を振って8以上なら命中で1ヒット、10ならクリティカルヒットで再判定。SBD-3隊は、重巡洋艦部隊に狙いを定めた。結果……

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重巡古鷹への爆撃は、6回中3回成功し3ヒット。古鷹の防御力は5(カウンター右上の数値)なので、ヒットポイントは3となり、あえなく撃沈。重巡加古には、1ヒットが与えられた後、2回目の命中がクリティカルヒット(ダイス目10)となり、クリティカル表で再判定し、これが2ヒット命中となり、合計3ヒットでこちらも撃沈となった。さらにSBD-3は、余った爆撃力で重巡衣笠にも1ヒットを与えた。衣笠は、ヒットポイント3のうち1ヒットなので中破というところか。にしてもサラトガ隊、恐るべし……

そして、ここで日本軍プレイヤーターンが終わり、両軍の航空機はいったん任務を終えて帰投し、続いてアメリカ軍プレイヤーターンとなる。アメリカ軍の移動フェイズ=第3海上移動セグメントは、アメリカ軍から行うため、再度、空母サラトガが日本軍艦隊を索敵・攻撃する番となる。つまり、上手くいけばダブルムーヴになるわけだ。ただし索敵によって得られた「発見」は、プレイヤーターン中にしか効果が無いため、日本軍からアメリカ軍へプレイヤーターンが切り替わってしまうと、すでにその効力は無くなっている。そこでサラトガ隊はもう一度、索敵機を飛ばし、日本軍艦隊を発見し直す必要がある。しかし、さすがにこの索敵ダイスは失敗。それでもサラトガ隊は、ウェーク島に入り、積んでいたF2A戦闘機0.5ステップを揚陸した。

エンタープライズ隊も、再び第2航空戦隊戦隊を捜索したが、これも失敗。とりあえずこちらもウェーク島ヘクスに入り、サラトガ共々CAP(戦闘上空哨戒)を張り、日本軍を待ち受ける形とした。うん、まあ、エンプラ隊は良いところがまったく無かったが、第2航空戦隊を誘引してウェーク島から引き離し、間接的にサラトガ隊を援護したという意味では、十分仕事をしたなと。

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そして次は、第3海上移動セグメントの日本軍の移動だが、さすがに輸送船団全滅、重巡2喪失、1中破とあっては、作戦を中止する他ない。第2航空戦隊は日本本土へ、第6戦隊・第6水雷戦隊はサイパン方面へ撤退した。日本軍の獲得勝利ポイントは、航空スコードロン0.5撃墜の1.5ポイントのみ。喪失ポイントは、重巡(CA)撃沈2で-6、輸送ポイント撃沈4で-4、差し引き-8で連合軍勝利と相成った。

とは言え、キャンペーンシナリオで、アメリカ軍プレイヤーとしてこのウェーク島救援作戦をやるかと言われると、かなり微妙だ。今回アメリカ軍は、かなりダイス目に助けられたが、本来まだ1941年中は日本軍の方が修整的にも有利だし、あと1ターン待って1942年に入ってからの方が互角に近い状態で戦える。しかしまだ不利な1941年12月中でもこれだけやれるというのも、大きな参考になるなあと。

さて次は、年明けに独ソ戦前半を扱う「TSWW:Barbarossa」も出るだろうし、その前に「TSWW:Hakkaa Päälle」に戻って、フィンランド冬戦争の、本格的陸戦シナリオに挑戦したいところ……

【参考文献】Lars Celander「How Carriers Fought」

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How Carriers Fought: Carrier Operations in World War II

How Carriers Fought: Carrier Operations in World War II

  • 作者:Lars Celander
  • 出版社/メーカー: Casemate Pub & Book Dist Llc
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア:ハードカバー
 

「TSWW:Day of Infamy」の参考書として、第二次世界大戦の空母戦を扱った「How Carriers Fought(空母はどのように戦ったのか)」をざっくり読了。Kindleでは安かったのに、またハードカバー版を購入。

第1章「空母作戦」では、索敵、発艦、航空攻撃、対空防御といった空母戦の仕組みを詳解し、WWII空母戦ゲームが好きな方にはとても参考になりそうな内容。第2章「第二次大戦の空母戦」では、ケーススタディとして、珊瑚海、ミッドウェー、マリアナ、レイテ海戦等が分析されている。この第2章も、いずれTSWWでそのあたりをプレイする際には、もう一度読み直すつもり。

個人的に、一番参考になったのは第3章「空母作戦術と進化」。ここではランチェスターの法則などを使って空母戦をモデル化しているが、中でも「(空母を)集中するのか分散するのか」という命題は、先日TSWWでウェーク島シナリオをプレイした際にも気になった。本書では、メカメカしい部分にも多く触れているが、やはり気になるのは、TSWWのプレイでも必要となる、作戦レベルでの空母の運用なので。

もう10年前に刊行されたムックだが「決定版 太平洋戦争シリーズ④第二段作戦」にも「空母はこう戦う」(古峰文三氏)という記事があり、「How Carriers Fought」の第1章に書かれてあるような内容が簡単に図示されているのでオススメ。このムックには、第二次大戦当時の海軍作戦の進化を分析した「狭海パラダイムへの変換」(片岡徹也氏)も載っていて、こちらも海軍作戦に興味のある方は是非是非。

【Advanced Squad Leader】「Hell's Corner」(Operations Special Issue #3)

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2019年最後の買い物。海外オークションにて、2010年に発売されたMMP「Opeartion Special Issues #3」を購入。プレミア価格なれど、諭吉1枚で収まったので、まあまあかと。

お目当ては本誌ではなく、付録の、ガダルカナル島・マタニカウ河付近での戦闘を扱った、ASLヒストリカル・モジュール「Hell's Corner」。今年2月に、ガダルカナル島のムカデ高地戦を扱った「Operation Watchtower」を買った時にも書いたが、実はこの2つ、もともとワンセットとして企画されていたが、2001年に「Operation Watchtower」として発売される際に「Hell's Corner」部分が省略されてしまったという曰く付きのシロモノ。そして9年後の2010年になってようやく「Hell's Corner」が発売され、この2つを合わせてASLヒストリカルガダルカナル戦もコンプリートということになる。自分も2月の日記で『いずれそちらも入手したい』と書いたが、一年以内に買い揃えられてひと安心だ(買い揃えるばかりで、全然プレイはできていないが……)

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ヒストリカル・モジュールとは言っても、1ページだけの簡単な特別ルールが付いている他には、マタニカウ河付近のフルマップ1枚、シナリオ5本、2ページの紹介記事があるのみ。こちらが、陸軍一木支隊が壊滅したマタニカウ河口。ASLスケール(1ヘクス=40m)ではこのように。 

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こちらは河の上流、やはり激戦地となった丸太橋近辺。 

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「Hell's Corner」用のシナリオは5本収録されているが、うち3本は「Operation Watchtower」にも、同じ戦闘ながらも、汎用地図盤を使うバージョンとして収録されている(戦力も若干異なる)。そう、本来「Hell's Corner」用のシナリオもあらかじめ準備されていたのに「Operation Watchtower」発売時に地図盤を省略したため、シナリオだけ残して汎用に改造したということ。まあ、せっかく「Hell's Corner」を入手したのだから、ヒストリカル地図盤バージョンでプレイしたいところ。

また本誌には、ASLスターターキット用のシナリオも2本掲載されている。 

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ちなみに本誌のメイン付録は、日本のゲームジャーナル1号「真・バルバロッサ作戦」と同3号「決戦ガダルカナル」の英語版。記事としては、GTS(Grand Tactical Series)での諸兵科連合(コンバインド・アームズ)に関する分析(7.5ページとなかなかの量)も載っているので、これだけ訳してみようかな。

【Wargaming Column】ゆく年くる年2019、そして2010年代総括

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【2019年の購入ウォーゲーム】

今年購入したのは、ウォーゲーム12個+ASL5個+ASL小物4点。購入が10個を超えたのは、2012年以来7年ぶり。その大半が、昨年末の時点で『来年は買う』と想定したモノなので、それは良しとしよう。問題は、昨年末の時点でまったく買うつもりが無かった「TSWW(The Second World War)」シリーズと「A World at War」「Gathering Storm」に手を出してしまったこと。いったん断捨離もしたので、もうWWII作戦級~戦術級だけあれば良いじゃないかと言っていたのに、戦略級方面にも手を出してしまった。まあ、先日のWWIIクリスマスツリー記事でも書いたが、これによって第二次世界大戦を複数のレイヤーでプレイできることになったので、それもまた良し。

【2019年のウォーゲーム活動】

引き続き、ほぼ引退状態のソロプレイ専門。しかし今年は仕事が忙しくなったので、ソロプレイに割く時間も限られてしまった。それでも今年購入したゲームの大半は、一度はソロプレイして、とりあえず稼働状態とした。今年こそ回数を増やそうと思っていたASLも、相変わらずのコレクター状態。「A World at War」も手が出なかったけれど、先に「Gathering Storm」のルールを訳している。

そして、分厚いTSWWのルールを訳し、ミニシナリオながらも、実際のソロプレイまで漕ぎ着けただけでも、自分で自分を褒めても良いんじゃないだろうか。実際、今年プレイした中では「TSWW:Day of Infamy」がマイベスト・ウォーゲーム2019。

また今年は、このBlogに読書記事を追加した。やはりウォーゲームと戦史書は切っても切り離せないということで、戦史書の記事でもウォーゲーム・タイトルに言及するようにしてみた。このあたり、うまくリンクさせていきたいところ。

【2020年の購入ウォーゲーム予想】

とりあえず新年早々、ASLフランス軍モジュール「Croix de Guerre 第2版」、デラックスASL総集編「Delux ASL Redux」、ASLヒストリカル・モジュール「Onslaught to Orsha」と、またASL部隊が続々到着しそう。「TSWW:Barbarossa」も、そろそろのはず。「CSS:Fulda」「GOSS:Lucky Forward」は3月という話だが、それもどうなるんだか。他にも「OCS:Hungarian Rhapsody」「GTS:Race for Bastogne」も注文済みだが、どちらもいまだにP500に達していないので、来年以降かもしれない。

【2020年のウォーゲーム活動予想】

今年は、TSWWのルールを訳したが、来年「TSWW:Barbarossa」の発売に伴ってルールもアップデートされるはず。そのルールも訳す予定だし、すでに「TSWW:Hakkaa Päälle」の特別ルールは翻訳済み。「Singapore !」の特別ルールの翻訳も始めているし、プレイ環境は少しずつ整えつつある。TSWWに関しては、まだまだ練習段階なので、来年は本格的なシナリオ……冬戦争、マレー半島戦、インパール作戦、ミッドウェー作戦あたりに触れてみたい。もちろん「TSWW:Barbarossa」が届けばそれも……

さらに平行して「Gathering Storm」の翻訳も進めている。こちらは、本体ルールを45%ぐらい訳したところで止め、TSWWの翻訳を優先している。「Gathering Storm」も、カードの訳まで含めると結構な分量なので、あまり焦らず進めようかと。そして出来ればその後には「A World at War」にも着手したい。一応、2003年版の翻訳データはあるが、最新ルールの翻訳も作っておきたいなと。

そして「Lucky Forward」の発売に伴い、GOSS(Grand Operational Simulation Series)のルールもアップデートされるはずなので、それも訳しておきたい。また「GOSS:Atlantic Wall」の訳も途中で止まっているので、GOSS最新ルールが出たらそちらも……とまあ、面倒なシステムのルール修整ばかり抱えているが、そのうちのどれかひとつぐらいは、来年中に達成したいなと。

また、友人からは『ASLをプレイしたい』というリクエストも来ており、できればヒストリカルASLのシナリオを中心に再開しようかと思っている。しかしASLは、毎年毎年『今年こそは』と言って尻つぼみに終わっているから、期待は薄……

【2010年代の総括】

このBlogの年別記事数を見ても分かるように、2010年は、一番ウォーゲーム活動が活気づいていた年だった。それがゲームの断捨離をした2014年には記事が最低数になり、ほぼ引退状態に。それでもボードゲームTRPGTCGを手放したのに、ウォーゲームだけは残ったというのも面白い。結局、2014年を底として、再びV字回復し、今年の記事数は、その2010年に次ぐ、第2位の年となった。と言っても、積極的にプレイ回数を増やしたわけでもなく、対戦をするわけでもなく、ただ時間が空いた時にソロプレイをする程度。まあ、そのプレイスタイルは、来年以降も続くかなと。

というわけで、2020年も引き続きほぼ引退状態でしょうが、何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

GMT「Stalingrad'42」Fall Brau Self Study

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2020年新年早々「Stalingrad'42」の対戦予定が入ったので、シナリオ1「Fall Brau(青作戦)」を並べ、プレイブックに載っている例そのままに2ターンほど動かしてみた。 

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基本的なシステムは、近年のSimonitch作と共通ながらも、航空支援(ドイツ軍の場合、戦闘フェイズに攻撃スタックに載せると、突破戦闘にも残り、さらにはソ連軍ターンにも残って防御支援もするという便利さ)、補給ポイント(自前で砲兵支援をするか、砲兵支援をした司令部を回復させる)が特徴的に感じた。

しかしドイツ空軍マーカーは2個しかない(ルーマニア軍用に1個追加される)ので、全戦線にわたって派手に暴れられるワケでもなさそう。実際、史実でも(そしてプレイブックでも)、まずは北部からの攻撃に限定されているし。対するソ連軍としては、戦闘比が多少低くても反撃する気概が必要だなと。

まあ、事前にゲームが見えすぎてしまうとつまらないので、今日はルール確認のみ。

GMT「Stalingrad'42」Fall Brau AAR

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今日は、2013年2月以来、7年ぶりにYossyさん宅で対戦。Yossyさんも、この7年間はウォーゲームと縁遠かったそうで、だったらオーソドックスな作戦級をということで「Stalingrad'42」を選択。シナリオ1「Fall Brau」を、Yossyさんがドイツ軍、自分がソ連軍を担当した。 

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序盤、快活に進撃するドイツ第4装甲軍。 

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ドイツ軍は、一番手前の勝利ポイント地点Staryy Oskolを占領し、先鋒部隊は早くもVoronezh(勝利ポイント2)に達した。しかしドイツ装甲師団は、各地でステップロスをくらい、早くも消耗しつつある。そして南部では、まだ攻勢に出られず。

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ドイツ第4装甲軍が消耗したうえ、Don川にぶつかったあたりで、今度は南部での攻勢が開始。ドイツ軍は、Valuyki、Voroshilovgradも占領。しかし各司令部を戦闘支援に使った代わりに、それを回復させる補給ポイントが不足してきた。 

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対するソ連軍は、反撃する余裕も無く、ZOCボンド戦線を繋ぐのみ。 

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そのソ連軍戦線も、広い範囲でドイツ軍の攻撃をくらい、一斉に後退、そして混乱。それでも何とか勝利ポイントの達成は防いでいる。  

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南部でのドイツ軍の進撃は、Voroshilovgradで停止。その先にあるMillerovoまでは奪えなかった。

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最終第8ターン。ドイツ軍のSvobodaに対する攻撃は、EX(相互損失)止まり。しかしVoronezhに対する攻撃はようやく成功し、ソ連軍も「断固たる守備」にしくじって後退。あえなくVoronezhは陥落した。しかしその勝利ポイント2点を加えても、合計5点。勝利基準の8点には足りず、ドイツ軍敗北と相成った。

まあ、7年ぶりのリハビリ的対戦とはいえ、8ターン進めるのに4時間ほどだったので、さくさくと進められた感じ。ドイツ軍は、後退するソ連軍を追って、ついついDon川方面に装甲師団を送ってしまったが、そちらは渡河攻撃をするのだし、歩兵師団を送れば良く、装甲師団はDon川とDonetz川の間の平野部を突進させれば良かった……というのは後知恵。まあ一度プレイすれば、そのあたりの戦力配分もすぐ見えてくるかなと。今回は、その戦力配分に手間取り、Voronezh陥落も遅れたが、次回はもう少しスムーズにできるはず。とは言え、Svobodaまでは取れるとしても、勝利ポイント7点目、8点目を取るのは、まだ難しそうに見える。たぶんプレイ回数を重ねれば、また違って見えるのだろうが。

ソ連軍としては今回、ほとんど反撃をしなかったが、枢軸軍も徐々に消耗し、戦線が薄くなっていたので、一発殴れそうなチャンスも何度かあった。一応、予備選力も保持していたが、その時、その近くに反撃できる戦力が無かったのが残念。予備を配置する場所がまずかったのだろうか。あるいは、枢軸軍戦線が綻ぶ場所をあらかじめ予想して、反撃用の予備を準備しておくか……などと対戦後、あれこれ話し合ったので、いずれまた再戦するかもしれない。とにもかくにも、安心安定のSimonitch路線は健在だった。

【参考文献】喬良・王湘穂 「超限戦 21世紀の新しい戦争」

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超限戦 21世紀の「新しい戦争」 (角川新書)

超限戦 21世紀の「新しい戦争」 (角川新書)

 

2001年に日本語版が発売され、品切れていた「超限戦」が新書化されたので購入。中国で原書が発行されたのは1999年だそうで、2001年の「9.11テロ」前にハイブリッド戦争に言及していたことで話題になったそうだが、自分が触れるのは初めて。マーチン・ファン・クレフェルトも、1991年の「戦争の変遷」で、すでに非正規戦に触れていたが、本書はより具体的にハイブリッド戦争に触れている。

もはや21世紀の戦争は、通常戦争やゲリラ戦争は優に及ばず、金融、メディア、心理戦争など、あらゆる境界や制限を超越して複合されているという意味で「超限戦」なのだろう。まあ、さすがに生態戦争(天候や気象を利用する)となると「?」と思ったりもするが、ちょうど今オーストラリアで起きている大規模な山火事のような災害なら人為的に起こせるだろうし、それも将来戦の一手段なのかもしれない。

ただ、自分の手元には、あいにくハイブリッド戦をテーマとしたウォーゲームは無い。たぶん「ModernWar」誌あたりで発表されているゲームの中に、ハイブリッド戦的な作品はあるだろうが、まだまだ作品数は少ないと思う。なにしろハイブリッド戦自体、実例も少なく、現在進行形でもあることから、制作側としてもモデル化・ゲーム化しにくいのだろう。一方、プレイする側としても、(自分も含めて)まだこの新時代の戦争観に追いつけていなかったり、むしろなじみ深い、旧来のクラウゼヴィッツ的な通常戦争ゲームを好む人も多いのが実情ではないだろうか。いずれ新時代の戦争が、普遍的な形でモデル化されたら触れてみたい気もするが、さまざまな分野での変化スピードが上がっている現代では、なかなかそれも難しいかもしれない。それよりは、個々のハイブリッド戦争を、その時の状況だけ切り取って、個別に表現していくという「取って出し」な形で対応するしかないのかも……などと思いつつ、自分も、もはや失われつつある、通常戦争ウォーゲームと、ノスタルジックにつき合っていくのだろうな。


【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」The Battle of Suomussalmi Solo-Play AAR

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「TSWW : Hakkaa Päälle」の特別ルールを翻訳したので、これで冬戦争(ソ・フィン戦争)もプレイ可能に。しかし史実に寄せるための仕掛け(陰謀ルールとも言う)が結構キツく、実際に確かめることにした。

まずは冬戦争中、フィンランド軍が最も輝かしい勝利を収めた「スオムッサルミの戦い」をソロプレイしてみることに。この戦闘は、フィンランド領内に侵攻したソ連第9軍の先鋒・第163歩兵師団が、スオムッサルミの街を奪ったものの、シーラスヴォ大佐率いる寡兵のフィンランド軍に各個撃破に遭ったうえ、後続の第144歩兵師団まで撃滅されてしまったというソ連軍の大敗。まあ、数個師団程度の戦闘なので、もっと細かいゲームスケールの方が楽しそうだけども。

シナリオ開始時点で、ソ連第163歩兵師団は3個連隊に分割され、それぞれ1一般補給ポイント(GSP)は持っているものの、第9軍司令部と補給所スタック(画像右下)からは、かなり離れている。1939年のソ連軍の主要補給ルート許容量は4と定められ、簡単に言うと、補給所から平地4ヘクス先まで補給下にできる。しかしシナリオ開始時=1939年12月Iターンの天候は、過酷(Severe)かつ凍結(Frozen)であり、主要補給ルートが各ヘクスを通過する消費コストが増し、第163歩兵師団の3個連隊も、この範囲外にあるため、最初から補給切れとされている。

TSWWでは、補給切れと判定された場合、補給源や補給所からの無制限の陸路=補給線(LOS)が断たれた「孤立」なのか、それとも補給所からの主要補給ルート(MSR)から外れた「補給負荷」なのかを判別する。今回の場合、ソ連第163歩兵師団の3個連隊は、補給所からの陸路=補給線(LOS)は通っているものの、主要補給ルート(MSR)範囲内にはいないので「補給負荷」となっている。「補給負荷」には2段階あり、「補給負荷1」では、攻撃力1/2、移動力1/2、影響ゾーン(ZOI、他のゲームで言うZOC)は減少状態、戦車ショック効果(ASE)-1、反応移動無しとなる。現状のまま、もう1ターン経過すると「補給負荷2」となり、攻撃力1/4、防御力、移動力、対空力1/2、影響ゾーン、戦車ショック効果、対戦車効果、装甲防御値無し、反応移動と突破移動も不可となる。

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さてソロプレイ開始。1939年12月Iターン。先手フィンランド軍の移動フェイズから。最初のターンの増援として到着した、第27軽歩兵連隊(2-6)は、スオムッサルミに陣取るソ連第613歩兵師団第759歩兵連隊(4-6)へ接敵。同じく第25連隊(1-6)も、スキー部隊は移動時に敵ZOIを無視できるというフィンランド軍特別ルールを活かし、ラーテ(Laate)道ヘクスへ進出。これとシーラスヴォ大佐直率のRasanan軽歩兵旅団(1-6)と併せて攻撃をかける。最初のターンには、一般補給ポイント4も届いているので、これを3消費して、3個ユニット(3スタックポイント)を攻勢補給下とし、額面100%の攻撃力を発揮させる(攻勢補給にしなかった場合、額面戦闘力✕0.75のみ)。一応、フィンランド軍には、対地支援にも使えるブレンハイムI型爆撃機0.5ステップ(作戦爆撃力1のみ)も控えているが、天候が過酷なので爆撃力50%となるため、今回は使わず。

続いて戦闘フェイズ。額面戦闘力だけなら、フィンランド軍の攻撃力4:ソ連軍の防御力4(補給負荷1でも防御力は変化しない)=戦闘比1:1だが、もちろん修整が加わる。

1939年のフィンランド軍の戦闘効率補正(CEV)は1.4。シーラスヴォ大佐の攻撃補正は0.2。フィンランド軍の攻撃力は、4✕1.6=6.4となる。また3ヘクスサイドからの集中攻撃でダイス修整+1、過酷な天候時の攻撃でダイス修整-1、1/2スタックポイント(=大隊)以上の軽歩兵スタックが森林を攻撃する場合はダイス修整+2、併せて+2となる。フィンランド軍の場合、スキー部隊も軽歩兵として扱えるのが便利。

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対するソ連軍は、戦闘効率補正0。防御力は変わらず4となり、攻撃力6.4:防御力4=戦闘比1.6:1となる。ここでd100を振って出目は19。60以下が出たので、最終戦闘比は2:1、ダイス修整+2で判定する。出目は4。足して6。結果は「QH(Quater/Half)」。まず攻撃側フィンランド軍は、防御側ソ連軍のスタックポイント(1)の1/4を失う。防御側ソ連軍は、スタックポイント(1)の1/2を失って後退する。フィンランド軍は第25スキー連隊を除去し、ソ連軍第759歩兵連隊も除去された。フィンランド軍第27軽歩兵連隊は、空いたスオムッサルミヘクスに前進し、これを奪回。遺棄されたソ連軍の一般補給ポイント1に対しても1d10を振り、出目8=1x0.8=整数にして1ポイント捕獲となった。ここでフィンランド軍Rasanan軽歩兵旅団も前進出来るが、あえてしないのが重要(後述)。

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続いてソ連軍の反応移動フェイズ。特別ルールによって、ソ連軍は毎ターン、西に進まなければならないが、道路沿いに西進するということで、いったんスオムッサルミに接近。

さらに手番代わって、ソ連軍の移動フェイズ。しかしこの1939年12月Iターンはソ連軍の師団分割ユニットはスタックできないという特別ルールがあり、過酷な天候によって移動も阻まれ、2個連隊がかりでは攻撃できない。先行した第163歩兵師団第662歩兵連隊は、一般補給ポイントを消費して補給負荷1を維持してOltavaに入ったが、ソ連軍には、額面戦闘比3:1以上なら必ずフィンランド軍を攻撃しなければならない、という特別ルールもある。第163歩兵師団第662歩兵連隊の額面戦闘力は4、隣接するRasanan軽歩兵旅団は額面戦闘力1なので、ここはマストアタック。と言うより、フィンランド軍は、わざとソ連軍に攻撃を強制させるため、あえてスタックを集めなかった(フィンランド軍がスタックすると合計3戦闘力になり、強制攻撃の3:1にならない)。

そしてソ連軍の戦闘フェイズ。第662歩兵連隊の額面戦闘力は4だが、補給負荷1によって攻撃力は1/2に。また司令部の攻勢補給下にないので、攻撃力✕0.75。よって4✕0.5✕0.75=攻撃力1.5となる。河川は凍結しているため無問題だが、過酷な天候時の攻撃なのでダイス修整-1。

対する防御側フィンランド軍Rasanan軽歩兵連隊は、額面防御力1なれど、戦闘効率補正1.4、シナリオ地域外にいるマンネルハイム将軍の防御補正1.0があるため、1✕2.4=最終防御力2.4となる。

攻撃力1.5:防御力2.4=1:1.6となり、ソ連軍はd100を振り、出目は49。最終戦闘比1:2、ダイス修整-1となる。ソ連軍の出目は5。引いて4。結果はHR(Half & Retreat)。ソ連第662歩兵連隊は攻撃にしくじり除去された。

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ターン代わって、1939年12月IIターン。スオムッサルミには、フィンランド軍増援のスキー守備連隊((1)-6)✕4個が到着。それに留守番を任せ、Rasanan軽歩兵旅団と第27軽歩兵連隊は、ソ連第163歩兵師団第529歩兵連隊を追撃。東西から挟み撃つ形で攻撃をかけた。もちろんフィンランド軍は、攻勢補給も消費し、額面戦闘力100%。

フィンランド軍の攻撃力は、合計3✕1.6=4.8。ソ連軍の防御力は3。戦闘比1.6:1。d100で48が出たため、戦闘比は2:1へ。ダイス修整+2。出目は7。足して9。結果は「DQ(Defender Quartered)」。ソ連第529歩兵連隊も除去され、第163歩兵師団は全滅した。 

とまあ、ソ連軍はロボット的にしか動けなかったが、史実に忠実に、スオムッサルミの戦いっぽくなっているなあと感じた。フィンランド軍の戦力ばらまき+攻撃強制テクニックも面白いと思う。こういった史実的な縛りについては、好き嫌いもあるだろうが、TSWWは全体的に史実に寄せたシステムなので、自分としては、そりゃあ状況設定も縛るだろうと割り切っている。展開の自由さや、競技バランスは低いが、図上演習ツール、史実再現キットとしては最高。ソ連軍に不利な陰謀ルールも、時期が進むにつれて次第に解除されていくので、次は冬戦争後期のシナリオも試してみよう。

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Timoshenko's Offensive '40 Solo-Play AAR Part.1

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引き続き「TSWW : Hakkaa Päälle」の冬戦争シナリオをソロプレイ。今回は、1940年2月から始まったソ連軍の攻勢シナリオ「Timoshenko's Offensive '40」を試すことに(ちなみに、ちょうど80周年)。冬戦争序盤で、大きな損害を被りながらもカレリア地峡のフィンランド軍防衛線=マンネルハイム線を突破できなかったソ連軍は、この地を攻める北西方面軍司令官にティモシェンコ大将を任命。ティモシェンコ大将は、膨大な兵力と砲兵を結集し、正面からマンネルハイム線の突破を画策。結果、この突破戦闘でも、ソ連軍は多大な失血を強いられたものの、フィンランド第2の都市ヴィープリ(Viipuri)に迫ったところで冬戦争は停戦と相成った。

このシナリオは、1940年2月Iターンに始まり、3月IIターンまでに(計4ターン)、ソ連軍がフィンランド軍に10スタックポイント(10個連隊相当)の損失を与えたうえで、ヴィープリを占領していれば勝利となる。

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ソ連軍は、マンネルハイム線の前に5スタック……歩兵師団✕13、戦車旅団✕3、空挺連隊✕3、砲兵連隊✕14、攻城用の列車砲大隊✕1を配置。特に中央の2スタックは、総計70戦力以上。さらに後方にも予備として、戦車師団✕1、歩兵師団✕4、二線級の歩兵師団✕4が控えており、ゴリ押しする気満々。こういうハイスタックが並ぶと、いよいよエウロパシリーズの本格シナリオという感じがする。

一応、エウロパシリーズとは違って、TSWWでは補給ルールも厳しくなったが、後方のレニングラードには、ソ連軍の補給所(ST)があり、2兵站ポイント(LP:Logistic Point)が準備されている。1兵站ポイントで、3個軍司令部とその麾下にある12個軍団司令部を攻勢補給下(騎兵と自動車化部隊も額面移動力100%を使用可能、かつ全ユニットの額面戦闘力100%を使用可能)に置ける。今回、ソ連軍は、カレリア地峡の東西に第7軍、第13軍の2個軍司令部を有し、その麾下に6個軍団司令部+1個砲兵司令部がある。この場合、2/3兵站ポイントを使用すれば、前線部隊はすべて攻勢補給下となれる。2兵站ポイントがあれば3ターンずっと攻勢補給が継続でき、ソ連軍は1ヶ月毎に1兵站ポイントが送られてくるので、最終ターンまで攻勢補給が途絶える心配は無い。

スオムッサルミ戦シナリオで見られた、ソ連軍に不利な制約もほとんど解除されているため、通常運行で作戦が行える状態となっている。

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対するフィンランド軍も、首都ヘルシンキの補給所(ST)に2兵站ポイントがあり、カレリア地峡軍を補給下に置けるだけの物資はある。ただしマンネルハイム線守備隊はお寒い限りで、前線6ヘクスに各1個師団+砲兵連隊がいる程度。予備兵力も無く、いったん突破されたら、前線を塞ぐ部隊は無い。

一応、フィンランド軍の戦闘効率補正(CEV)はいまだ1.4、後方に陣取るマンネルハイム将軍の防御補正1.0もあるため、フィンランド軍地上部隊の防御力は✕ 2.4となる。質的な有利さは健在だが、さすがにここまで量的に劣勢になるとどうなるか。

また今回、ソ連軍は航空兵力も結集させており、近接航空支援(CAS)を行ってくるはず。しかしフィンランド空軍で頼りになる迎撃機は、フォッカーD21隊1ユニットのみ(北欧空戦記!)。

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ソ連軍としては、とにかく勝利条件都市であるヴィープリを目指して正面攻撃をかけるしかない。カレリア地峡西部沿岸には、フィンランド軍の沿岸陣地も連なっているため、攻めるのが面倒臭いし。

ソ連軍の戦闘効率補正(CEV)は1.0。つまり額面そのまま。しかし過酷な天候下で、マンネルハイム線(大規模陣地線)ヘクスサイドを超えて(戦闘力✕0.75、ダイス修整-4)、森林+湖ヘクスを攻撃する(戦闘力✕0.5)場合、たとえ70戦力あったとしても、70✕0.75✕0.5=26.25となる。フィンランド軍10戦力スタックが✕2.4=24となるのだから、額面70:10でも戦闘比は1:1となるわけだ。キビシィー! いやソ連軍の重砲兵や攻城砲兵は、大規模陣地に対して戦闘力4倍となるから、その活用も大事か。

とは言え、基本的にフィンランド軍1スタックに対して、最低でも2スタックで攻めなければダメ。助攻として、カレリア地峡東部でも攻撃をかけるとしても、2スタック対1スタックの原則は守るべき。

とにかくマンネルハイム線さえ突破すれば、戦闘力✕0.75とダイス修整-4というペナルティは消えるのだから、ソ連軍としては損害に怯まず、攻めるしかない。少しずつでも、マンネルハイム線守備隊の戦力を削っていけば、そのうち戦闘比も有利になってくるはず。しかし「すれば」とか「はず」という見込みでやる作戦ってロクなことにならないのが世の常……まあ、そういった事情も見えてきたところで、いよいよソロプレイ開始。

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Timoshenko's Offensive '40 Solo-Play AAR Part.2

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それでは「TSWW : Hakkaa Päälle」の冬戦争・ティモシェンコ攻勢シナリオ、ソロプレイ開始。最初は1940年2月Iターン、先手ソ連軍、開始フェイズから。ソ連軍は、レニングラードに置かれた補給所(機能面:OP)から、2/3兵站ポイントを消費して、カレリア地峡の第7軍・第13軍司令部(とその麾下軍団司令部)に攻勢補給(OS:Offensive Supply)を供給した。これによりカレリア地峡のソ連軍はすべて、このターンに戦力・移動力を100%発揮できることとなった(一般補給だけの場合は戦力✕0.75、騎兵と自動車部隊は移動力1/2、それ以外の部隊は移動力1/4となる)。

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ソ連軍移動フェイズ。カレリア地峡東部にいた予備歩兵師団が前線ヘクスへ移動。ソ連軍は、これに続く戦闘フェイズで、4スタックを用いて2箇所で攻撃に出ることにした。

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ソ連軍戦闘フェイズ。解決に先立ち、2箇所での攻撃を支援するべく、近接航空支援(CAS)任務の航空部隊が出撃。それぞれDB-3MとSB-2bis爆撃機3スコードロン(120機相当)に、I-16タイプ17など護衛戦闘機も付けている。これに対してフィンランド軍のフォッカーD21(40機相当)、ブルドック戦闘機(20機相当)が迎撃発進した。

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戦線中央に迎撃発進したフィンランド軍ブルドック戦闘機は、ソ連軍の護衛I-16戦闘機に追い返され、基地へ帰還。地峡東部上空に向かったフォッカーD21戦闘機は、ソ連軍のI-16戦闘機をステップロス(20機撃墜相当)させたものの、こちらも基地に追い返され、爆撃機本隊へは近づけなかった。

また2つの爆撃隊とも、対空射撃を生き残り(と言ってもたいした対空射撃は無かった)、予定通り近接航空支援を行った。図左側の爆撃機隊は、作戦爆撃力5。右側は、作戦爆撃力7。作戦爆撃力4毎に地上戦力1となるため、左側は地上戦力1.25、右側は1.75となるが、あいにく天候が過酷なため、効果は半減。0.625と0.875となる。うーん、分かってはいたが、地上戦力1にもならんのか……

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では地上戦闘解決。まずカレリア地峡東部タイパレ(Taipale)への攻撃。ソ連軍は……

・歩兵72戦力(6個師団+スキー旅団)✕0.75(過酷・大規模陣地)=54戦力

・戦車16戦力(2個旅団)✕0.5(過酷・大規模陣地)✕0.5(過酷・森)=4戦力

・重砲兵26戦力(5個連隊+列車砲大隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(過酷)=78戦力

・近接航空支援0.875 合計136.875戦力

戦車部隊は、スタックポイント(部隊規模)に等しい装甲値を持つ。この場合、ソ連軍は2個旅団=4スタックポイント分の戦車を持つため、装甲値も4。ただし大規模陣地ヘクスサイドを超えて攻撃する場合、その装甲値を活かした戦車ショック効果(ASE)は無効とされるため、今回は考慮しない。

対するフィンランド軍は、6戦力✕2.4(マンネルハイム将軍と戦闘効率補正)=14.4戦力。戦闘比9.50:1。d100を振って10が出たので、戦闘比10:1に繰り上げるが、地上戦闘結果表には9:1までしかないので振り切り。ただしダイス修整は-4(過酷・大規模陣地)。ソ連軍の攻撃ダイス、出目は1(最悪!)、修整して-3、結果はHQ。攻撃側ソ連軍は、防御側フィンランド軍=5スタックポイントの1/2=2.5スタックポイント以上を除去しなければならず、第72歩兵師団をステップロスさせ(2スタックポイント損失)、スキー旅団を除去(2スタックポイント損失)した。フィンランド軍は、5スタックポイントのうち1/4を失って後退するか、1/2を失って留まるか。当然、後者を選び、第7(軽)歩兵師団をステップロスさせ(2スタックポイント損失)、タイパレを死守した。マンネルハイム線、堅し! 実際、史実でもタイパレ地区での戦闘は、ソ連側にとって虚しいものだったとあるから、そのまんまか……

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では主攻勢軸、戦線中央、キヴェンナパ(Kivennapa)に対する攻撃。ソ連軍は……

・歩兵104戦力(8個師団+2個空挺連隊)✕0.75(過酷・大規模陣地)✕0.5(森・湖)=39戦力

・重砲兵40戦力(6個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(過酷)=120戦力

・近接航空支援0.625 合計159.625戦力

対するフィンランド軍は、10戦力(歩兵師団+高射砲連隊+砲兵連隊)✕2.4=24戦力。戦闘比6.65:1。d100振って36が出たので、戦闘比7:1に繰り上げ。ただし、こちらもダイス修整は-4(過酷・大規模陣地)。ソ連軍の攻撃ダイス、出目は8。修整して4。結果はDQ。防御側フィンランド軍は、6スタックポイントのうち1/4を失い(第5軽歩兵師団をステップロスして2スタックポイント喪失)、後退しなければならない。ソ連軍は見事、マンネルハイム線を突破し、陣地線の向こうに第1軍団司令部+4個歩兵師団+1個空挺連隊を前進させた。

この後は、非手番側・フィンランド軍の反応移動フェイズとなるが、あいにく反応移動(移動力1/2で移動)が許されるのは、敵ユニットから3ヘクス以上離れているユニットなので、今回は無し。

続いてソ連軍の突破フェイズ。攻勢補給下の騎兵・自動車化ユニットは、さらに全移動力を使って移動でき、それ以外のユニットは移動力の1/2まで移動できる。ソ連軍の全ユニットは、攻勢補給下にあるため、いずれも移動可能。そしてこの移動中にオーバーランを行ってもよいが、電撃戦を諦めたティモシェンコ大将同様、ここは次ターンの攻勢準備に留めておこう。

手番代わって、フィンランド軍の開始フェイズ。ヴィープリに2個砲兵連隊が登場したものの、前線は手薄。移動フェイズにスキー部隊が位置を変えた程度。というあたりで、次の1940年2月IIターンへ……

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TSWWでは、旧エウロパ・シリーズより補給面も厳しく(そして細かく)なったが、基本的な地上部隊の補給システムは、なかなか良い感じだ。要するに、1/3兵站ポイント払えば、1個軍司令部と、その麾下の4個軍団司令部につながるユニットはすべて補給下に置かれるわけで、その処理は、案外と楽である。その麾下に何個師団いるのかという、従量制的な計算は無い(司令部から隔絶していたら、それをやる)。

また、攻勢補給下にしなければ、どの種類の部隊であろうと、戦闘力も移動力も100%発揮できないという処理は、補給に厳しいOCS(Operational Combat Series)より厳しくなっている。

OCSも補給に焦点を当てたゲームであり、自動車化部隊の移動には燃料が必要だが、歩兵・騎兵部隊はノーコストで動き回れてしまうので、そこがまだユルいかなと。歩兵にしろ騎兵にしろ、メシを食わねば動きも鈍るはずだし、その食糧供給まで再現しても良かったように思うのだが、デザイナーのDean Essigが、とりあえず自動車化部隊の燃料消費に焦点を絞ったから、ああいう形になったのだろう。

なんとなく、2010年代生まれのTSWWが、1990年代生まれのOCSを見て『いや補給にこだわるなら、歩兵や騎兵にも補給ポイントを食わせようぜ』と、先輩格OCSへのアンサーシステムになったような気もする。そういった、次世代・21世紀のウォーゲームの主張を見るのも面白い。

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Timoshenko's Offensive '40 Solo-Play AAR Part.3

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1940年2月IIターン。天候は、過酷(Severe)から一段階良くなって悪天候(Poor)に。このターンも、ソ連軍は全軍を攻勢補給下に置き、2スタックずつ3箇所で攻撃を行うことに。もちろん、さっさと勝利条件都市ヴィープリ(Viipri)へ攻め込みたいのは山々だが、まだマンネルハイム線も1ヘクスしか突破できておらず、このターンは突破口の拡大に努めることに。その後の作戦的な選択肢も広がるだろうし。

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3箇所での攻撃に先立ち、今回はソ連海軍航空隊も含めて、近接航空支援(CAS)に発進。前ターンは天候が過酷だったため、爆撃力も50%減となったが、このターンは悪天候で済んだため、爆撃力は10%減のみ。 これに対してフィンランド軍は、再び迎撃機を上げたが、ブルドック戦闘機はI-16護衛戦闘機に撃ち落とされ除去。フォッカーD21は、またもI-16戦闘機をステップロスさせたが、爆撃編隊までは達せず、基地に帰還。ソ連軍の近接航空支援は、西から、地上戦力+0.675、+1.575、+1.575となった。

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前ターンに続く、地峡東部のタイパレ(Taipale)への攻撃で、ソ連軍は……

・歩兵69戦力(5個師団+2個旅団)✕0.75(悪天候・大規模陣地)=51.75戦力

・戦車16戦力(2個旅団)✕0.5(悪天候・大規模陣地)=8戦力

・重砲兵31戦力(6個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(悪天候)=93戦力

・近接航空支援1.575 合計戦力154.325

対するフィンランド軍は、4戦力✕2.4(マンネルハイム将軍と戦闘効率補正)=9.6。戦闘比16:1なので、振り切り9:1で判定。ダイス修整は、悪天候・大規模陣地の-3。ソ連軍の出目は8。修整して5。結果はDE。防御側は全滅し、ソ連第19軍団がタイパレへ前進した。

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続いて、戦線中央ポラッカラ(Pölläkkälä)への攻撃。ソ連軍は……

・第1軍団スタック(マンネルハイム線を越えている)

・歩兵57戦力(4個師団+空挺連隊+スキー旅団)

・第3軍団スタック(マンネルハイム線を越えていない)

・歩兵37戦力(4個師団)✕0.75(悪天候・大規模陣地)=27.75戦力

・重砲兵20戦力(3個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(悪天候)=60戦力

・近接航空支援1.575 合計戦力146.325

対するフィンランド軍は、9戦力✕2.4=21.6。戦闘比は、6.77:1。d100を振って51が出たので、戦闘比7:1に切り上げ。ダイス修整は、陣地線を越える-3。ソ連軍の出目は7。修整4。結果DQ。防御側フィンランド軍は、6スタックポイントのうち1/4を失い(第3軽歩兵師団がステップロス)後退。ソ連軍は、ポラッカラも占領した。

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さらに地峡西部ウーシキルコ(Uusikirkko)への攻撃。ソ連軍は……

・歩兵80戦力(6個師団+2個空挺連隊)✕0.75(悪天候・大規模陣地)✕0.75(悪天候・森湖)=45戦力

・重砲兵38戦力(6個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(悪天候)=114戦力

・近接航空支援0.675 合計戦力159.625

対するフィンランド軍は、6戦力✕2.4=14.4。戦闘比は振り切り9:1。ダイス修整-3。ソ連軍の出目は3。修整して0。結果EX。防御側フィンランド軍は全滅し、ソ連軍はそれに等しいスタックポイント5以上の損失を被り(2個歩兵師団をステップロスし、1個空挺連隊を除去)、ウーシキルコへ前進した。また、この戦闘により、フィンランド軍は10スタックポイント以上を損失したため、ソ連軍の勝利条件が1つ満たされた(残るはヴィープリの占領)。

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さらに突破フェイズでも前進してきたソ連軍に対して、フィンランド軍はマンネルハイム線の放棄を決定。勝利条件都市ヴィープリを守るため、薄い戦線を敷いた。

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続いて1940年3月Iターン。天候は、引き続き不良(Poor)。次がいよいよ最終ターンなので、ソ連軍としてはこのターン中にヴィープリに接しておかないと敗北。そのため、ここまで2スタック対1スタックの原則を守って攻めてきたが、このターンでは、1スタック攻撃も致し方無し。

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ソ連軍は、この1スタック攻撃にも近接航空支援(CAS)を投入。当然、フィンランド軍のフォッカーD21戦闘機(本当に孤軍奮闘)が迎撃に当たるも、I-16護衛戦闘機と追い返し合う形で空戦は終了。作戦爆撃力13=地上戦力4.25✕0.9(悪天候)=3.825が投下された。

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ヴィープリの西ヘクスを攻める、ソ連第3軍団スタックは…… 

・歩兵54戦力(4個師団+スキー旅団)

・重砲兵15戦力(3個連隊)✕0.75(悪天候)=11.25戦力

・近接航空支援3.825 合計戦力69.075

守るフィンランド軍は、5戦力✕2.4=12。戦闘比5.75:1。d100振って35が出たので戦闘比6:1に切り上げ。ダイス修整は-1(悪天候・森)。ソ連軍の出目は3。修整して2。結果はQH。フィンランド軍は、高射砲・砲兵連隊を失い、第5軽歩兵師団はヴィープリ市内に後退。ソ連軍は、スキー旅団を犠牲にして、ヴィープリに隣接した。

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ではヴィープリの南東ヘクス、ハインヨキ(Heinjoki)への攻撃。ソ連軍は……

・歩兵111戦力(8個師団+2個空挺連隊)✕0.75(悪天候・森湖)=83.25戦力

・重砲兵40戦力(6個連隊)✕0.75(悪天候)=30戦力 合計戦力113.25

対するフィンランド軍は、5戦力✕2.4=12。振り切り戦闘比9:1。ダイス修整は-2(悪天候・森湖)。ソ連軍の出目は6。修整して4。結果はDE。防御側は全滅して、ソ連軍はハインヨキからもヴィープリに迫る形となった。フィンランド軍も、ヴィープリに第3軽歩兵師団の残余を入れ、最後の市街戦を待った。

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最終1940年3月IIターン。天候は、引き続き不良。ソ連軍は、ヴィープリに接する第1・第3軍団スタックにありったけの戦力を集めて攻撃開始。ソ連軍が結集したのは…… 

・歩兵135戦力(10個師団)

・重砲兵60戦力(10個連隊)✕3(都市)✕0.75(悪天候)=135戦力 合計戦力270

対するヴィープリ守備隊は、14戦力✕2.4=33.6。戦闘比8.03:1。d100振って37だったので、戦闘比は8:1止まり。ダイス修整-1(小都市)。ソ連軍の出目は8。修整して7。結果DE。防御側フィンランド軍は全滅し、ソ連軍はヴィープリを占領し、勝利した。

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というわけで、ソ連軍が、史実では占領できなかったヴィープリを陥落させたが、マンネルハイム線の突破は結構厳しかった。今回は、ソ連軍が最初のターンに突破できていたから最終的に勝利できたが、突破が1ターン遅れたら、ヴィープリ占領はならなかっただろうし、やはり戦力の集中は大事と。

まあ、このシナリオもあくまで練習規模で、詰め将棋的に、4ターン先までにヴィープリを占領できるかという問題を論理的に解く感じ。作戦的余地は少なかったものの、まずは、こういった歩兵と砲兵を中心とした戦闘計算から体得した方が良いと思う。今回も、あれこれ細かい計算手順を記録したが、もしこれに戦車、対戦車要素が加わると、さらに計算は面倒になる。そういった複雑な戦闘をする前に、機甲戦要素の少ない戦場を選んだ方が無難だろう。そろそろ機甲戦要素満載のはずの「TSWW:Barbarossa」も発売されるようだが、個人的には、まだ歩兵・砲兵戦をしっかり学びたい。次のTSWWソロプレイ予定は「Singapore !」の1941年マレー戦か、1944年インパール戦あたり……

【参考文献】Bair Irincheev「War of the White Death」

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War of the White Death: Finland Against the Soviet Union 1939-40 (The Stackpole Military History Series)

War of the White Death: Finland Against the Soviet Union 1939-40 (The Stackpole Military History Series)

 

半年以上前に、Amazonにて1939-40年の冬戦争(ソ・フィン戦争)を扱った「War of the White Death」(Stackpole Military History Series)を購入。もちろん 「TSWW : Hakkaa Päälle」の参考書にと思い、ちまちま読み進めてきた。原書は、2011年発行と比較的新しい。

本書の特徴は、1991年のソ連崩壊後に世に出てきた資料を基に、冬戦争を分析している点。1941年以降の独ソ戦史も、ソ連側の新資料を加味して書き換えられつつあるが、日本で出版されている冬戦争の本も「冬戦争の戦車戦」以外は、ほとんどがフィンランド側視点中心なので、非常に興味深く読んだ。内容は、基本的に陸戦中心で、戦闘描写も結構細かい。そういう意味では、作戦レベルのTSWWよりも、戦術レベルの冬戦争ウォーゲーム「Red Winter」「TCS:A Frozen Hell」あたりの参考書になりそうだ。

本書でまず興味深かったのは、冬戦争に従軍したソ連軍兵士たちが、故郷に送った手紙を検閲した記録。ソ連側は、その手紙の内容がポジティヴかネガティヴかまで記録しているが、序盤の苦戦にも関わらず、肯定的な内容が多い。しかしそれは、そもそも検閲があると知って否定的な内容を書かなかったのか、それとも故郷の家族や恋人を心配させまいとして肯定的な手紙を書いたのか、想像するのも面白い。

また、スオムッサルミの戦闘で大敗を喫した、ソ連第9軍の前線指揮官や政治将校たちは数多く処刑されているが、肝心の第9軍司令官チュイコフは、責任を問われていない。しかしチュイコフは、冬戦争後、中華民国に軍事顧問として派遣されているが、これは一種の懲罰的左遷だったのだろうか。1941年6月にドイツ軍がソ連に攻め込んで来ても、ずっと呼び戻されなかったのは、ソ連の中央指導部から捨て忘れられていたからだろうか。そう考えると、1942年9月に、チュイコフがスターリングラードを守る第62軍司令官に抜擢された際、フルシチョフ政治委員から『貴官の任務をどう見るかね?』と問われ『スターリングラードを守り抜くか、それで死ぬかでしょうね』と答えたのも、自分は一度スオムッサルミで失敗していて、それでも処刑されなかったのだから、スターリングラードでその責任を取る、という意味だったのだろうか。本書ではチュイコフが、自伝の中で一言もスオムッサルミの戦いに言及していないことも挙げているが、そう考えると、スターリングラード着任時のセリフも印象が変わってくるなあと。

まあ、そういった細かい兵士・指揮官の心理含めて、冬戦争のソ連軍を学ぶには良い一冊かと。

【Advanced Squad Leader】「Deluxe ASL」

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プレオーダーしていたASL(Advanced Squad Leader)の新作、というか復刻版「Deluxe ASL」が到着。

デラックスASL(DASL)とは、ヘクス径55mmという巨大ヘクス地図盤でASLをプレイし、1/285スケールのミニチュアでも遊べるように設計されたもの。1985年のASL誕生とほぼ同時に第1弾DASLモジュール「Streets of Fire」が発売され、続いて1987年に第2弾DASLモジュール「Hedgerow Hell」が発売されたものの、あまり人気が無かったのか、それ以降、DASLモジュールが発売されることは無かった。かく言う自分も、今までずっと購入しておらず『まあDASLはいいや……』とスルーしていた。

しかし今回発売された「Deluxe ASL」は、旧「Streets of Fire」「Hedgerow Hell」の地図盤、オーバーレイ、シナリオに加え、後にASL Annual や ASL Journal等で発表された追加シナリオもまとめて収録されている。あいにく旧作に収録されていたAFV(車輌)データカードは割愛されているが、これひとつあればDASL関係はまとめて揃うので、ついつい購入してしまった。

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こちらが旧「Streets of Fire」から復刻された、新DASL地図盤a、b、c、d。スターリングラード的な大型建造物や市街戦向けの戦場。旧版の地図盤はハードボードだったが、この復刻版では現行のASL標準地図盤と同じく、薄手のものになっている。 

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こちらが「Hedgerow Hell」から復刻された、新DASL地図盤e、f、g、h。ボカージュを含む、西部戦線フランスの田園という感じ。

まあ、これだけヘクスが大きい方が、老眼に苦しむASLer諸氏には良いのかもしれない。またASLの場合、さまざまな状況や状態を表すマーカーがごちゃごちゃと入り乱れる場合もあり、そういった混乱も、これだけスペースがあれば、多少は整理できるかも。

また発売当時は、あまり出来の良くないメタルミニチュア程度しか存在しなかったが、21世紀の今では「食玩」という安価かつ出来の良いWWII戦車ミニチュアも手に入るので、それを使ってプレイするのも良さそうだ。自分も、この「Deluxe ASL」購入を機会に、いくつか手に入れようかなと思ったり…… 

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こちらはオーバーレイ。もちろん、こちらもデカい。 

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シナリオは「Streets of Fire」収録の10本、「Hedgerow Hell」収録の8本に加え、雑誌収録の20本を加えて合計38本収録。舞台も、フランス、クレタ島マレー半島ビルマスターリングラード、クルスク、シシリー島、ノルマンディ(ヴィレル・ボーカジュ)、モンテ・カッシーノ、アルデンヌ、ブダペスト、マニラ、ベルリンと、第二次世界大戦の著名な戦場がひととおり揃っている感じ。ただし本作には、カウンター類がまったく入っていないので、各国軍の基本モジュール(つまり駒)を持っていないと話にならない。逆に言えば、基本モジュールを持っているなら、買っても損は無いと。

また「Winter Offensive Bonus Pack #9」では、さらにDASL地図盤i、j、k、lとDASLシナリオ5本(中国、アーヘン、朝鮮戦争)が追加されているため、本作と併せれば地図盤12枚、シナリオ33本と、なかなかのボリュームになっている。

難点を言うなら、どのシナリオも、ユニット数がそこそこ多く、戦場密度の高いシナリオばかりだなあと。地図盤1枚だけを使って、ASLの基礎メカニズムを練習するようなシナリオがあっても良さそうだが、あいにく見当たらない。また、もし戦車戦をやるとしたら、至近距離での撃ち合いになるので、そのあたりもどうなんだか。まあ、それが気になるなら、本式ASL/ASL-SKをやりなさいということか。あと、AFVカードは新しく出さないのだろうか。もちろん、出せばキリが無いので、今のところは非公式のAFVカードを使うしか。

【Advanced Squad Leader】DaE2「The Bend in the Road」AAR

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昨日は、Karter氏と久しぶりにASL(Advanced Squad Leader)を対戦。と言っても、2人でプレイするのは2014年末以来、約5年ぶりだったので、お互いルールを忘れており、いきなり本式ASLは厳しく、ASLスターターキットのヒストリカル・モジュール「Decision at Elst」のシナリオ2「The Bend in the Road」を選んでみた。お題は、1944年9月、マーケットガーデン作戦でアルンヘムに降下したイギリス第1空挺師団の救出に向かったイギリス第43歩兵師団が、その手前のエルスト村でドイツ第10SS装甲師団クナウスト戦闘団と戦うというもの。ちなみに登場するSS部隊は、やはり黒地に白でないと雰囲気が出ないので、Heat of Battle社のSSカウンターセットを使用している。

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自分は、先攻イギリス軍を担当。4-5-7分隊✕13、シャーマンV✕3輌、ファイアフライ✕1輌をもって、エルスト村に入り、シナリオ範囲奥のQ15ヘクスから6ヘクス以内に16火力のLOSを通していれば勝利。この地域には、細かい水路を擁した干拓地ヘクスが多々あり、戦車の機動にはあまり向いていない。とりあえず中央の道路へシャーマンV1輌+ファイアフライ1輌を進め、両翼にもシャーマンVを1輌ずつ配して前進。歩兵部隊も、急速歩移動で村内に入り、ドイツ軍が立て籠もる石造建築物と相対した。

Karter氏率いる後攻ドイツ軍は、6-5-8親衛隊分隊✕5.5で薄い防衛線を敷き、中央から、唯一の戦車、V号パンターGを進入させた。パンターGは、早速シャーマンVを正面から撃破。後続のファイアフライも、その残骸に隠れつつパンターVGに撃ち返し、早くも至近距離で戦車戦が始まった。 

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しかし結局ファイアフライも、パンターGに撃破されてしまった。一方、イギリス軍歩兵部隊は、なぜか回復DRで2を連発し、8-1指揮官✕1、8-0指揮官✕3が誕生することに。その指揮官を用いた射撃グループ攻勢と、戦車との共同攻撃で、SSの重機関銃スタックをいったん後退させたものの、すぐに回復して元いた建物に取って返し、迫り来るイギリス兵を次から次へと追い返した。イギリス軍は、対戦車火器PIATを抱えた兵を、果樹園伝いに浸透させ、パンターGの側面に送り込もうとしたが、やはり親衛隊歩兵の射撃に遭って、あえなく後退。両翼のシャーマンVも、干拓地に阻まれつつ、敵歩兵に榴弾を撃ち込むが決定打は出ない。対するドイツ軍歩兵も、パンツァーファウストを撃てそうなチャンスは何度かあったが、イギリス軍歩兵に阻まれ、シャーマンに接近できずにいた。また匍匐後退する武装親衛隊に対し、追い打ちのように射撃を行ったイギリス軍に対し『なんという非人道的行為!』『いや、そっちも(本式ASLでは)捕虜は取らないルールでしょ』というやり取りも……

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ようやく5ターン目。PIATを持ったイギリス兵が、パンターGを側面から撃破したものの、ここで時間切れとなりゲームを終えた。目標のQ15ヘクスには、12火力までLOSを通したが、そこまでと。まあ、久しぶりの対戦だったので、かなりルールを忘れていたが、ASL的な諸兵科連合効果(コンバインド・アームズ)が楽しめたし、なかなか手頃なシナリオだなと。

スターターASLの場合、本式ASLでは必須の「隠蔽」ルールが無いため、お互いの状況を見ながら、ああだこうだ輪講プレイできるのが楽しい。もちろん、ルールが頭に入っているガチASLer同士なら、情報を隠匿してプレイする方が面白いだろうが、ルールを思い出す練習程度なら、やはりスターターだなと。 まずは「隠匿」無しのスターターキットで、ASLの基本メカニズムに慣れ、もう少し手応えが欲しくなったら本式ASLへ、そこまで行くつもりが無ければスターター止まりで良いと思う。Karter氏とも、しばらくはASLスターター対戦を続けようかという話に(とか言ってまた5年後になったり)。

ちなみに、このエルスト戦は「GTS:Devil's Cauldron」でも扱われているので、スケールを変えて、そちらも味わってみるのも面白い。 


【Advanced Squad Leader】「The Bear's Revenge : The Battle of Königsberg 」

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カナダのサード・パーティ、Lone Canuck Publishingの新作ASL(Advanced Squad Leader)ヒストリカル・モジュール 「The Bear's Revenge:The Battle of Königsberg 」が到着。お題は、1945年4月、東プロイセンの古都ケーニヒスベルク(現カリーニングラード)での末期市街戦。ドイツ軍は、この都市を守るため、四重にも及ぶ防衛線を築き、兵士10万名をもって死守する構えだったが、対するソ連軍は、入念な攻略準備の後、圧倒的な砲爆撃と兵力によって、たった4日間でこれを陥落したという。ASLの市街戦としては、すでに公式モジュールで、スターリングラードブダペストが発売されているが、そういった長丁場の市街戦ではないあたりが興味深い。

ちなみに本作をプレイするには「Beyond Valor」「Red Barricades(Red Factories)」「Valor of the Guards」「Festung Budapest」が必要と、なかなか敷居が高い(一応、全部手元にあるけど)。

http://www.lonecanuckpublishing.ca/KBR.htm 

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マップは2枚(LCPモジュールでは初)。ケーニヒスベルクの中心部、四重の防御線の最も内側が描かれている。この都市は、すでに前年1944年の段階で連合軍の爆撃を受け、かなりの損害を被っていたとのこと。この地図盤でも、大半の建物が瓦礫と化している。 

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LCP製品としては珍しくカウンターシート(1.5枚)も付いている。こちらはドイツ軍。SS憲兵(4-4-7)、国民突撃隊(3-3-6)、ヒトラーユーゲント(4-3-7)、ナチ党指導者など、末期戦らしいカウンターが揃っている。また独ソ両軍に砲兵観測チーム(2-2-8)も登場。 

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こちらがソ連軍。この時期、すでにソ連軍は大量の鹵獲兵器を使用しているため、歩兵カウンターの左上にはパンツァーファウストが描かれている。しかもパンツァーファウストの使用回数は、シナリオに登場する分隊数の2倍(10個分隊がいるなら、そのゲーム中に20回使用可能)と、ドイツ軍より潤沢だったりする(通常、ドイツ軍は分隊数の1.5倍)。ソ連軍が、大量のパンツァーファウストを使用していたという話は聞いたことがあるが、ブダペスト戦を扱った「Festung Budapest」でもそういった処理はされておらず、ASLでその史実が適用されたのは初めて見た。 

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キャンペーンゲームの他、シナリオは6本収録。瓦礫の山と化したケーニヒスベルク市街地で、待ち受けるはIV号突撃砲や75mm対戦車砲搭載のハーフトラックに支援され、ブンカーに籠もる国民突撃隊。それに対してソ連軍は、砲爆撃はもちろん、ISU-152やT34/85火炎放射戦車のスチームローラーで潰しにかかるという、まさにWWII末期戦なシナリオばかり。

と言っても、実はケーニヒスベルクの市街戦については、あまり詳しくない。一応、独ソ戦車戦シリーズの「死闘ケーニヒスベルク」も読んだが、市の防衛線と、それを攻略する準備過程は書かれているものの、4日間の市街戦そのものについては、あまり詳しく記されていない。アントニー・ビーヴァーの「ベルリン陥落」でも、2ページほど触れられている程度(p292~293)。ヴォルフガング・パウルの「最終戦」では、このケーニヒスベルク戦に一章を割いているが、あれは戦史というより読み物だしなあ……

【Advanced Squad Leader】「Bloody Buron : The First Step to Caen」

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新作 「The Bear's Revenge:The Battle of Königsberg 」を買うついでに、2013年発売のASL(Advanced Squad Leader)ヒストリカル・モジュール「Bloody Buron:The First Step to Caen」も購入。

こちらのお題は、1944年7月8日、ノルマンディのカーン市を奪うべく発動された、連合軍のチャーンウッド作戦の一環として、その前面にあるブロン(ビュロン)村に立て籠もったドイツ第12SS装甲師団第25装甲擲弾兵連隊第3大隊に対し、カナダ軍ハイランド軽歩兵連隊が攻めかかるというもの。このブロン(ビュロン)村は、連合軍のノルマンディ上陸以後から争奪戦が繰り広げられていたが、本作で扱うのは、その最終戦。カナダ軍は、シャーマン・クラブ対地雷戦車や、AVRE工兵戦車なども投入し、この村を解放した。

http://www.lonecanuckpublishing.ca/BB.htm

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マップは1枚。すでに砲爆撃で穴だらけになったフランスの田園地帯という感じ。ただしボカージュは無く、むしろ開けた部分が多い。それだけ射線(LOS)も通りやすいと。 

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「GOSS:Atlantic Wall」でBuron村を見てみると、この通り。そういや「GOSS:Atlantic Wall」のルール翻訳も止まっているが、そろそろ「GOSS:Lucky Forward」も発売されるので、その最新ルール待ち。

ちなみに同名タイトルの戦記が2冊ヒットしたので、カナダでは有名な戦闘なのかもしれない。まあ、第12SS装甲師団を撃退して、カーンへの門をこじ開けたという意味では華々しいのか。
ドイツ軍側を指揮していたクルト・マイヤーの自伝「擲弾兵」でも、このブロン(ビュロン)の戦闘で、麾下の兵たちが火炎放射戦車に焼かれる様が記されていたり、師団参謀フーベアト・マイヤーの「SS第12戦車師団史(上)」では、カナダ軍側の損害の多さも紹介されている(p548)。そういった第12SS装甲師団の断末魔的状況を見たいとか、連合軍工兵戦車がプレイしたいなら、持っていても良いかなと。

【Advanced Squad Leader】「Ozerekya Breakout」

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Lone Canuck Publishingから、もうひとつASL(Advanced Squad Leader)のヒストリカル・モジュールを購入。こちらは、2011年発売の「Ozerekya Breakout」。お題は、1943年2月4日、黒海沿岸のオセレイカに上陸したソ連海軍歩兵部隊と、守備隊のルーマニア軍(後にドイツ軍も応援に)との戦闘。そう、昨年Compass Gamesから発売された「CSS:The Little Land:The Battle of Novorossiysk」と同じ戦闘である。

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マップは1枚。キャンペーンゲーム1本とシナリオ4本入り。ソ連海軍歩兵は、この地に第一波だけが上陸し、第二波以降は上陸せず帰ってしまうという、前代未聞の状況に置かれながら、枢軸軍部隊と交戦し、結局壊滅。ASLシナリオとしても、ソ連海軍歩兵とルーマニア軍という組み合わせも珍しいし、「CSS:The Little Land」ともリンクする内容だし、ついつい買ってしまった。まあ、実プレイはしないだろうが、参考資料ということで…… 

GMT「Stalingrad'42」Fall Brau AAR

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今日は、1月に続いてYossyさんと「Stalingrad'42」を再戦。今回もシナリオ1「Fall Brau」を、陣営を入れ替えて対戦した。 

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第1ターン。自分が担当するドイツ軍は、順調な滑り出し。陣地線に立て籠もったソ連軍歩兵を6個師団ほど包囲し、孤立・自滅させつつ前進。 

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第4ターン。ようやく最初の勝利ポイントStaryy Okkolを占領し、Valuykiにも迫る。ソ連軍は、一気に後退し、戦線を縮小しつつ、個々のスタックの厚みを増していく。 

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第7ターン。ドイツ軍は、Valuykiも占領し、さらに後方のVoronezh、Svoboda、Voroshilovgradも狙う。しかしSvobodaとVoroshilovgradは占領したものの、勝利ポイントは4点止まり。シナリオ勝利に必要な8点にはほど遠い。だったら盤端から機械化部隊を突破させるかと思ったが、この後で登場してきたソ連軍増援部隊に難なく戦線を埋められてしまった。 

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最終第8ターン。Voronezhへの攻撃も上手く通ったかに思えたが、守備するNKVD師団が「断固たる防御」に成功してこれを死守(プロパガンダ映画化決定)。ドイツ軍は、勝利ポイント2点を逃した。

一方、戦線中央を突き崩せば、その後方のMillerovoを突破戦闘で狙えるのでは?という期待から最後の攻撃がかけられた。 

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しかしドイツ軍は、前線を突破したものの、Millerovoを攻撃するには前進ヘクス数が1足りず、勝利ポイント4点止まりの敗北。いやVoronezhとMellerovoを取ったとて、勝利ポイントは7点止まりなのだから、結局は勝てなかったと。今回もRostov方面には、あまり兵力を割かなかったが、やはりそれが敗因なのか。まあ、安心安定の面白さは再確認できた。 

【参考文献】「日米両海軍の提督に学ぶ」

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先日、茨城の古書店に寄った際、値段が付いていなかった「日米両海軍の提督に学ぶ」(1988年刊行)という本を見つけ、ご店主に訊ねたところ『2千円で良いですよ』と言われて購入。元々は非売品だし、帰宅してからネットで情報を漁ったところ、それなりの値段で古書取引されていたので、 ちょっと良い買い物だったかもなあと。

著者の中村悌次氏は、元海上幕僚長海軍兵学校67期主席として、重巡洋艦「高雄」、戦艦「長門」にも勤務。駆逐艦「夕立」の水雷長として、スラバヤ沖海戦、第三次ソロモン海戦にも参加という経歴。(2010年に90歳でご逝去されたとのこと)

本書は、主に海上自衛隊幹部向けに、アメリカ海軍からはキング、ニミッツ、スプルアンス、ミッチャー提督、日本海軍からは山本、古賀、豊田聯合艦隊司令長官に加え、小沢提督を採り上げ、そのキャラクターや、組織内での対人関係をメインテーマに書かれている。まあ、アメリカ海軍軍人の評はともかく、旧海軍軍人による旧海軍軍人評となると身びいきがあるようにも感じるが、さまざまな海軍軍人の回想録や談話から各提督のエピソードを集め、統率の際に生じたであろう、組織内の人間関係による摩擦・軋轢の可能性なども多々書かれており、興味深く読んでしまった。

そう言えば、「米軍提督と太平洋戦争」でも、本書が参考文献として挙げられているのに今気がついた。こちらも併せて再読してみようかな。

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