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【参考文献】Barrie Pitt「The Crucible of War」

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Wavell's Command: The Crucible of War Book 1

Wavell's Command: The Crucible of War Book 1

  • 作者:Pitt, Barrie
  • 発売日: 2019/07/23
  • メディア:ペーパーバック
 
Auchinleck's Command: The Crucible of War Book 2

Auchinleck's Command: The Crucible of War Book 2

  • 作者:Pitt, Barrie
  • 発売日: 2019/10/24
  • メディア:ペーパーバック
 
Montgomery and Alamein: The Crucible of War Book 3

Montgomery and Alamein: The Crucible of War Book 3

  • 作者:Pitt, Barrie
  • 発売日: 2020/10/21
  • メディア:ペーパーバック
 

昨年購入した「BCS:Brazen Chariots」を、ただ今翻訳中。個別ルールは、ささっと訳し終わり、デザイナーJim Danielsの謝辞、デベロッパーにしてシリーズ・デザイナーDean Essigの文章も翻訳完了。これから、最も文章量の多い、Carl Fungのヒストリカルノートに取りかかる予定。 何もそこまで訳さなくてもプレイはできるのだけれど、最近はそういった制作陣の能書きを読むのが楽しく、またそこを知らずにゲームをプレイして、見当外れで『ああだこうだ』言いたくないので。

で、その「Brazen Chariots」の推薦図書(単なる参考文献ではない)として挙げられている、Barrie Pittの「The Crucible of War」をペーパーバック3部作版で購入した。初版は1980年なので、さほど新しい本でもないが、BCS制作陣によれば『北アフリカ戦役全般を知るのに必須』とのこと。たしかに3冊合わせて900ページもの分量で、1940~1942年のリビア=エジプト地域の戦闘を扱っているので(チュニジア戦役までは及んでいない)、かなり詳細な情報が得られそうだ。

ただしこの「The Crucible of War」、図版も写真も1枚も無く、ただずらずらと文章が続くというストロングスタイル。章立てもおおざっぱだし、地名・人名の索引も無いため、興味がある箇所を調べようとすると、結構大変。そういう意味では、用語検索が可能なKindle版の方がオススメ。実際、すでに昨年の段階で3冊ともKindle版で入手できたのだけれど、自分は紙の本が好きなので、第3巻が今年10月にペーパーバックになるまで待ってしまった。まあ、とても全部読み通せるとも思えないが、「Brazen Chariots」のプレイに合わせて、気になったところは、つまみ読みしようと思う。


【参考文献】Werner Kortenhaus「The Combat History of the 21.Panzer Division」

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The Combat History of the 21. Panzer Division

The Combat History of the 21. Panzer Division

 

「The Combat History of the 21.Panzer Division」のペーパーバック版を購入。その名の通り、ドイツ第21装甲師団の戦闘記録だが、その前身である第5軽師団時代や、北アフリカで壊滅するまでの経緯は省略され、フランスで再建された後の、ノルマンディ戦、アルザス=ロレーヌ戦、オーデル戦線という、1944年~45年の末期戦のみを扱っている。前々からAmazonの欲しい物リストには入れていたが、ペーパーバック版でも5000~6000円代だったので、ちょっと高いなあと思っていたら、いつの間にか、しれっと2000円代まで下がっていたので、このチャンスに入手。しかし株じゃないんだから。

元々本書は、ノルマンディ部分が1989年に、それ以降が1990年にドイツで発表され、2014年に英語版ハードカバーが発売された模様(なので、英訳者の注も入っている)。写真もそれなりに入っており、戦況図だけまとめた薄手の別冊も付いている。人名・用語の索引もあるので、調べ物をするにも便利(あいにくKindle版が無い)。

我が家にあるウォーゲームで、この時期の第21装甲師団を、大隊・中隊レベルで目の当たりにできる作品と言うと、ノルマンディ戦なら「GOSS:Atlantic Wall」「GTS:The Greatest Day」、アルザス=ロレーヌ戦なら「GOSS:Lucky Forward」か、ASLのヒストリカル・モジュール「Hattenin Flames」か。特に本書では、Hattenの戦いについて、かなり詳細に記されているので、参考になりそうだ。ノルマンディ戦の方は、他の書物でも読めるんだけどね。まあ、GTSはすでにプレイ済みだが、GOSSはいまだに手つかずというか「Atlantic Wall」のルール訳が途中で止まっている状態。来年あたり、着手できれば良いのだけれど……いや再来年かなあ……

【Next War Series】GMT「Next War:Poland」

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2017年に発売された、現代仮想戦シリーズ第4弾「Next War:Poland」を購入。これももう品切れだが、書泉グランデに「Next War:India-Pakistan」と一緒に店頭在庫が残っていたのだ。どちらも普通の値段で。だから一緒に買ってきてしまった。いやもちろん、すでにGMTでは「Next War:Poland 2nd Edition」のプレオーダーが始まっているのは知っていたが、それ出るの何年後よ、それまでの間、持っておくのも良いじゃない、ということで2個まとめて買ってきてしまった。だいたい、ウォーゲームが2個入るバッグを持って書泉に行った時点でダメだったな。うん、反省はしているけど後悔はない。

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地図盤に収められているのは、ポーランド西部の国境地帯から首都ワルシャワへと続く地域。ロシア領カリーニングラードリトアニアベラルーシと接する辺りである。このポーランドにロシア軍が攻め込んでくるという想定だが、いやその手前にあるバルト諸国はどうしたのよと問われれば、すでにこの戦いの前段階でロシア軍に占領されていると。そのバルト諸国戦は、あまり興味深い展開にはならないだろうというヒドい理由で割愛されている。しかしこれから先、発売予定の「Next War Supplement #3」では、リトアニアを含む拡張マップが付いているそうで、プレオーダー中の「Next War:Poland 2nd edition」でも拡張マップが予定されている。

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一応、割愛されたバルト三国に関しては、別途、戦略ディスプレイで表されている。またこの地域に含まれる、ゴトランド諸島だけの地図盤も「Supplement #3」で付くとか。 

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濃茶色のロシア軍ユニットは、さすがに豊富。 

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こちらは色とりどりのNATO諸国。「Supplement #2」で、各国毎にF35戦闘機が追加されている。 

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「Next War:Korea」「Next War:Taiwan」「Next War:India-Pakistan」用の差し替え航空機カウンターも多数収録。

とまあ、冷戦時代の「Next War」の舞台は東西ドイツ国境だったが、それが21世紀ではポーランド国境になっているあたり隔世の感がある。実際2007年にはエストニアが、ロシアからと思われる大規模なサイバー攻撃を受けており、このバルト諸国~ポーランドが、ハイブリッド戦争の最前線とも言える。一応、本作では、この戦いの時点では、すでにハイブリッド戦争は終わり、通常戦争に移行しているという想定だが「Supplement #1」のサイバー戦争ルールを追加してみるのも興味深い。またロシアの子飼いとして、本作でも登場するベラルーシでは、今年8月の大統領選を契機に、親ロシア的な政権に対する反発も強まっている。そういう意味では、いろいろ政情不安な地域でもあるので「2nd edition」が出る頃には、また別種の危機想定が入っているのかも……

【参考文献】Martin Kitchen「Rommel's Desert War」

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そろそろ「BCS:Brazen Chariots」のルール+ヒストリカルノート訳も終わりそうだなというタイミングで、また北アフリカ戦の洋書「Rommel's Desert War」を購入。こちらは特に「Brazen Chariots」の参考文献リストには含まれていなかったものの、なんとなく以前から気になっていて、Amazonの欲しいモノリストに入れっぱなしだった一冊。値段が5000円~6000円ぐらいだったので、ちょっと高いなあと思っていたが、つい先日、なぜか急に値段が2000円を割り込んできたので、じゃあこのタイミングでと。

内容的には、ロンメル率いるドイツ軍が北アフリカ戦線に登場し、チュニジアで壊滅するまでを概説したものだが、発売が2009年と新しめだったので、何か新たな知見が得られるかなと。個々の戦闘については、先日購入した「The Crucible of War」の方が断然細かく、ボリュームもあるけれど、こちらは図版・写真もあり、フォントも大きめで読みやすい。そうそう、健康診断の待ち時間に読もうと思って「The Crucible of War」を持っていったけど、やはり地図がまったく無い状態で読むのは難しいなあと。あちらはやはり「Brazen Chariots」の地図盤を広げながら、地名と部隊名をつき合わせて読みたい感じ。

【Next War Series】GMT「Next War:Vietnam」

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クロノノツーゲームさんから、現代仮想戦シリーズ第5弾にして最新作「Next War:Vietnam」が到着。デザイナーズノートを見たら『これにて中国3部作(韓国・台湾・ベトナム)は完結』と書いてあったけど、いつから3部作構想だったんだこれ。まあそれはともかく、本作の危機想定は、中国軍によるベトナム侵攻、また南シナ海を巡る制海戦。3部作と名乗っている通り「Next War:Korea」「Next War:Taiwan」との連結シナリオもあるが、かなり大がかりだなと。 

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地図盤は、ベトナムの首都ハノイを含む、中国との国境線地帯。1979年の中越戦争でも戦場となった一帯だが、こうして「Next War」スケールで見ると、結構、国境からハノイまでは近い。しかし実際、中国軍が陸路から再びベトナムに侵攻するという想定は、可能性としてどうなのだろう。3部作として連結した場合に、アメリカ軍の増援を吸引する意味で、ベトナムにも侵攻するということだろうか。たしかに3部作として、北朝鮮が韓国に攻め込み、中国が台湾とベトナムに同時侵攻した場合、アメリカ側がどのように戦力を割り振るかは、興味深い想定ではある。

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さらに「Next War:Taiwan」にも収録されていた作戦マップが、トンキン湾エリアが区分される等、若干の修整を加えられたうえ、航空ディスプレイと統合されて付いている。まあ、現実的な想定としては、中国の海洋進出の方がよく話題にされると思う。と言っても、所詮「Next War」シリーズも「陸主海空従」なシステムなので、陸戦は詳細に表現されていても、こちらは抽象的な表現にとどまっている。それとも、そのうち「Supplement」の形で、詳細な海戦ルールが後付けされたりして…… 

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こちら黄土色ユニットが、ベトナム軍。中越戦争の際にも、ベトナム戦争を経験していた民兵部隊の活躍が知られているが、こちらでも人民自衛隊(PSDF)ユニットが多々あり、中国軍の侵攻を足止め……してくれるのだろうか。一応、人民自衛隊ユニットは、裏面が「抵抗モード」になっており、軍事施設や都市部の掃討(クリアリング)作戦を阻害する働きもしてくれる。 

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こちらが侵攻側、中国軍ユニット。空母グループ駒も2個あり、航空戦力についても、金を注ぎ込んできたなあという感じ。

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こちらは、フィリピン、マレーシア、タイ、インドネシアといった、所謂ASEAN諸国軍。南シナ海を巡っては中国と対立しつつも、経済的には中国との関係が深いということで、参戦チェックの結果によっては、中国側(Non-Allied)に味方したり、アメリカ側(Allied)に味方するという……うん、関ヶ原でもこういう武将いたかも。恐らく「Supplement #1」を導入すれば、各国の参戦を左右するために、両軍がサイバー戦工作をするというプレイも可能なはず。

フィリピン軍は、ユニット両面で兵科マークの色が違い、中国面では効率値(ER)が1落ちる。あと、タイ空軍ってスウェーデン製のJAS-39グリペン戦闘機持ってるんだなあと思って調べたらこんな記事も……

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そしてこちらが、いつものアメリカ軍、英連邦軍、さらにベトナム旧宗主国フランス軍も登場。フランス軍にも空母グループ駒があるってことは、空母シャルル・ドゴール? 

ということで、ここ1ヶ月ほどで、一気に「Next War」シリーズ5作+サプリメント2作を揃えてしまった。まあ、まだ昨年のゲームも処理し切れていないので、実際のプレイは来年以降かなと。2021年は、このシリーズの元祖にあたるGDW「The Third World War」もCompass Gamesから再版されそうだし、それが出る前後で、一緒に触れられれば良いなあと思っている。韓国、台湾、印パ、ポーランドベトナムの、どこから手を出すかは考え中……(それまでに、こういった危機が現実にならないことを祈る)

【参考文献】クラウゼヴィッツ「縮訳版 戦争論」

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クラウゼヴィッツの「戦争論」の縮訳版が出たので購入。一応、自分も学生ウォーゲーマー時代から、岩波文庫版(篠田英雄訳)には触れてきたものの、2001年に中公文庫から出た版(清水多吉訳)は、買ってから1回読み通したかどうかという程度。レクラム版の翻訳(日本クラウゼヴィッツ学会訳)も読みやすいが、この縮訳版は、さらに読みやすくなっている。でも、中公版もそうなんだけど、マリー夫人の序文が女性的な訳し方じゃないと、なんとなく違和感。そこは本論から外れるんだけどね……

【参考文献】Nigel Askey「Operation Barbarossa : the Complete Organisational and Statistical Alalysis, and Military Simulation Vol.I」

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前々から気になっていた「Operation Barbarossa : the Complete Organisational and Statistical Alalysis, and Military Simulation(バルバロッサ作戦:完全なる組織と統計分析、及び軍事シミュレーション)」シリーズの第1巻を購入。シリーズとしては、全6巻8冊(第2巻と第3巻が2分冊)だが、どれもハードカバーで1万5千円前後、ペーパーバック版でも8千円ぐらい、KIndle版無しという状況。しかし第1巻だけは、Kindle版で2千円台、ペーパーバック版で3千円台だったので、試しにペーパーバック版を購入。

About Nigel Askey | Operation Barbarrosa

著者のNigel Askey氏は、1990年代にTalonsoftで、第二次大戦のコンピュータ・シミュレーション・ゲームの開発に携わり、その調査研究がこのシリーズにつながったとある。彼は、兵器や部隊の能力値を、理論的に導き出す解析方法を確立しており、その方法論をもってバルバロッサ作戦を分析する、というのがこのシリーズのテーマなのだが、今回買った第1巻は、まずその方法論だけが延々と書かれている。そう、タイトルには「バルバロッサ作戦」とあるが、内容的にはほとんどバルバロッサ作戦には触れられていないのだ。バルバロッサ作戦についての記述が読みたければ(高額な)第2巻以降を入手するしかない。

さすがに自分もびっくりしたが、気を取り直して、これを単なるウォーゲームの本として読むと、なかなか面白い。まず最初に『軍事シミュレーションやウォーゲームとは何か』から入り、戦術級、戦術作戦級、作戦級、戦略級という4つのカテゴリーを、有名タイトルを絡めて紹介している。

そこから解析方法……ILARM(Integrated Land and Air Resource Model)が詳解されている。これが恐ろしい積みあげ方式で、戦車、砲兵、機関銃など、個々の兵器の火力や精度を算定し、その戦力を分隊レベルから計算し、小隊、中隊、大隊、連隊、師団……と、その補給インフラやら、作戦的行動の自由やらも加味して、その戦力を推し量るというもの。その計算式も載っているが、基本文系な自分にはさっぱりだ。戦車で言うと、タイガーIやシャーマンを撃破するのに、平均何回の命中弾が必要か、平均何回の貫徹が必要かとあったり、砲塔内の乗員は何人が効率的か、弾薬の消耗率や、速射の効率性などがグラフや表でこれでもかと分析されまくっている。なんとなく『タイガーの防御力は5で、シャーマンの防御力は2かなあ』などと決めていないぞと。まあ、ウォーゲームの兵器や部隊の数値を決定するには、どういった要素を見るべきなのか、という意味では面白かった(バルバロッサ作戦どこいった)。

ちなみに著者サイトを見に行ったら「第二次世界大戦の軍事的神話」というページがあり、シベリア師団、88mm砲等に関する面白そうなコラムがあったので、そのうち読んでみたい。第2巻以降? いや、手は出ないかな……

【Advanced Squad Leader】「Blood Reef : Tarawa」Gamers Guide

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先日、MMPからVeteran's Day Saleのお知らせが来たが、いやもう、MMPで欲しいゲームはあらかた買ったわ、今さら値引きされても2個目も要らんし……と思っていたが、ASLのヒストリカル・モジュール「Blood Reef:Tarawa」のゲーマーズガイドをまだ買っていないことを思いだした。本体である「Blood Reef:Tarawa」は買い逃したままだが、いつか手に入れるかもしれないし、手に入れた時にこちらの冊子も無いと困るし……ということで注文。セールのおかげで、本体冊子はたった8ドルだったが、送料が16ドル。うん、送料の方が高かったね…… 

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内容は、キャンペーンゲームの分析を中心に、アメリ海兵隊の戦車、LVTに関する史実記事、ルール的なQ&A等々。すでに絶版の「Blood Reef:Tarawa」も、国内外のオークションでは5万円ほどで出ているので、買おうと思えば買えるけど、いいとこ3万円ぐらいで入手したいかなと。今年はつい「A Bridge too Far」に4万円オーバーを費やしてしまったが、あれはアルンヘム戦モジュール+黒い武装親衛隊カウンターセットという価値があったからで、タラワ戦だけで5万円を出す気はない。上陸戦も面倒そうだし。とは言え、どこかでひょいと手が出てしまうかもしれないが……


【参考文献】ローマン・テッペル「クルスクの戦い 1943」

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昨年、英訳版を買ってあったRoman Toeppelの「Kursk 1943」の日本語版が出たので購入。先につまみ読みしていたとは言え、やはり日本語版があった方が気楽に読める。英訳版を紹介した時にも書いたが、内容的には、クルスク戦に関する(独ソ双方の)意図的な捏造や、無自覚な間違い、単なる勘違い等々を検証し、その真相を解き明かそうとするもの。ちょっと残念だったのは、英訳版には存在していた地名索引と部隊名索引が無かったこと。自分的には、ウォーゲームの参考にする時、地名や部隊名から情報を拾うことも多いので。まあ、そこは英訳版を活用すればいいか。 

しかしあいにく今現在、自分の手元には、クルスク戦を中心に扱ったウォーゲーム・タイトルが無い。2006年に再版されたSPI「Eric Goldberg's Kursk」も、たいしてプレイしないうちに手放したし、OCS(Operation Combat Series)の次回作「Third Winter」は、1943年9月以降の東部戦線ということでクルスク戦の後だし。いっそBCS(Battalion Combat Series)で、プロホロフカあたり出来ないか。そして数年前から予告されている、ASLヒストリカル・モジュールのポヌィリ戦はいつ出るんだろう……

【ご寄贈先、募集中】RAND Corporation「Hedgemony」

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※War-Gamers Advent Calendar 2020参加企画

アメリカのシンクタンクランド研究所が始めて一般販売したゲーム「Hedgemony」を注文してみた。本体280ドル+送料30ドルとなかなかのお値段。タイトルは「Hegemony(覇権)」と「Hedge(損失防止)」をかけたもので、販売元も『これはウォーゲームではない、戦略ゲームだ』と言っているが、21世紀の安全保障や戦争を扱ったゲームなので、広義の意味ではウォーゲームなのだろう。ちなみにランド研究所については、文春文庫から出ている「ランド 世界を支配した研究所」で簡単にその歴史と内情が読めるが、あいにく品切れ。しかしピーター・パーラの「無血戦争」でも触れられているように、ランド研究所では1950年代からヘクスと戦闘解決表を用いて戦争シミュレーションを行っており、そういう意味でも、ウォーゲームとのつながりは長いと言える。

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まず65ページのルールブック、20ページのプレイヤーズガイド、15ページの用語と略語リストが付いているが、これがサイズ的に箱に入らない。どうやらランド研究所も、一般ボードゲーム製作のノウハウは持っていないようだ(^_^;) 

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さてこの「Hedgemony」、一般販売ゲームとは言うものの、基本的にはアメリカの国防のプロフェッショナル(国防総省の官僚、軍人、戦略アナリスト)向けの教育ツールである。このゲームの中心となるのは、アメリカ担当……正確にはアメリカ国防総省(DoD:Department of Defense)担当プレイヤーたち(3人程度)であり、その同盟としてNATO/EUプレイヤーが必要となり、これが青(Blue)チームと呼ばれる。

それに対する赤(Red)チームは、ロシア(RU)、中国(PRC)、北朝鮮(DPRK)、イラン(Iran)プレイヤーから構成される。つまりすべて核兵器を所有している諸国。国際的な安全保障ゲーム上では、核兵器を持っていなければ、味方としても頼りにならないし、敵としても脅威に思われないという現実がここにある。

さらにゲームマスター兼ルールアドバイザーとなるファシリテイターたち(5人)による白(White Cell)チームも必要であり、ゲーム管理のためにノートPCとプロジェクター・スクリーンが要る。そのため、人数を集めるだけでも大変だし、各プレイヤーに安全保障的な教養が求められるという意味でも、各員がゲームルールを理解しておくという意味でも、かなりハードルが高いゲームになっている。

さらに言うと、このゲームは、アメリカ国防総省プレイヤーたちが主役となり、NATO/EUはその相棒として、赤チームはその仇役として国際的緊張のやり取りをすることになる。そのため、一般的なボードゲームのように各国が独立した立場で勝利点数を競い合うのとも違うし、どちらかと言えばロールプレイングゲーム的に、各国がその立場と戦略から協力したり干渉しつつ勝利を目指し、アメリカはそれに対してどのように対応すればいいのかを学ぶゲームになっている。そういう意味では、一般的に言うところの「ゲーム」とは呼べないかもしれないし、安全保障の机上演習ツールのようにも思える。

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ハードボード製の地図盤には世界地図が描かれ、アメリカの国防上の区分(Command)でエリア分けされている。また、アメリカ、NATO/EU、ロシア、中国、北朝鮮、イランプレイヤー用に、それぞれ手元を隠す、ついたて式のボードが用意されている。 

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ついたての裏側には、各国の勝利条件、定番シナリオ開始時の資源(Resource)ポイントや軍事力、他プレイヤーの勝利条件等々が書かれている。また各国毎に管理シートが用意され、自国の軍事技術レベル、即応性(Readiness)、C4ISR(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・警戒・偵察)レベル、IAMD(統合的航空ミサイル防衛)レベル、特殊作戦レベル、長距離射程ミサイルレベル等を記録できるようになっている。

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こちらが各国の軍事部隊を表すカウンター。陸軍や海軍といった区別は無く、抽象的な戦力として表されている。各カウンターには、その部隊の規模(Capacity)を意味する部隊戦力(Force Factor)と、近代化(Modernization)レベルが記されている。このゲームでは『軍隊の規模 Capacityと伸びしろ Capabilityは違う』としており、部隊戦力が小さくても、近代化レベルが高ければ、高い戦闘能力を発揮できるようになっている。逆に、部隊規模が大きくても、近代化されていなければ……ということ。

近代化レベルは最高で7だが、たとえば定番シナリオの開始時には、アメリカは近代化レベル3の部隊を20個、世界各地に配置しているが、中国は近代化レベル3✕5個、レベル2✕5個、レベル1✕5個となっている。北朝鮮は、近代化レベル1✕10個のみ。ただしこの近代化レベルは、資源コストを消費することによって、後々上げることが可能であり、その管理もまたこのゲームの要素になっている。

ちなみにこのカウンターは、レーザーカットされており、その切断面が焼け焦げた?のか、触っただけで手が真っ黒になるほど汚れている。自分は、汗拭き用のフェイシャルペーパーで汚れを拭き取ったが、取扱いには注意するように。もっと良いカウンター製造会社あるだろうに……(^_^;) 

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部隊戦力(Force Factor)を左右するのは、近代化(Mod)レベルだけでなく、即応性(Readiness)によっても増減される。つまり各国は、自国の軍隊をただ増やすだけではなく、近代的な改修を行い、即応性を高めておくことが求められる。もちろんそれを行うコストも限られているし、すべての部隊を近代化したり即応性を高めることも難しい。ではどの部隊を強化し、それをどの地域に配置するのか、という点で悩まされるはず。特にアメリカ国防総省プレイヤーとしては、全世界すべての地域に部隊を展開させるのか、それとも一部はNATO/EUに任せるのか、あるいはどこかを見捨てるのか、という選択もあり得るだろう。

上写真右は、戦闘解決表だが、そういった戦力の増減を行ったうえで、戦闘比を割り出し、双方の近代化レベル差を修整値として10面体ダイスを振り、青と赤チームどちらの勢力が勝ったか負けたかを判定する。また、これとは別に、非戦闘的な相互作用(Interaction)……つまりプロパガンダやハイブリッド戦等を解決する表も存在する。  

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各国には、行動(Action)カード、投資(Investment)カード、国内事件(Domestic Event)カードが用意されているが、その枚数は各国毎に異なる。

各ゲームターンは、①赤・警告フェイズ②青・投資と行動フェイズ③赤・投資と行動フェイズ、④資源配分更新フェイズ、⑤世界情勢要約フェイズと進み、地図盤上のターン記録トラックは、16ターンまで用意されている。

①赤・警告フェイズでは、まず赤プレイヤーたちが、ゲーム上での国際情勢から、これから数ターン先の戦略を考え、それに合致するカードを自分の手札から3枚(うち1枚は必ず行動カード、うち1枚は必ず投資カード)を公開する。この3枚は、本当にプレイするかもしれないし、青プレイヤーに対する偽の警告でもいいし、実際にプレイしなくてもいいと。それを受けて、ゲーム管理者である白チームが、状況説明(ブリーフィング)を開始し、各赤プレイヤーたちに、その意図をある程度説明するように指示する。

たとえば中国プレイヤーは、この時点でいったん「アメリカ国防総省内の中国担当官」みたいな立場になり、自分で中国の戦略を組み立て、3枚カードを選んで公開したうえで、白チームから指示されたら『どうやら中国は北朝鮮に武器を輸出するようですぞ』と、青プレイヤーたち(アメリカとNATO/EU)に話すと。またこの状況説明は、あくまで青プレイヤーたちの戦略的判断を悩ませるものであって、ゲームに勝つために騙そうとするものではないと。

その状況説明を受けた後、②青・投資と行動フェイズで、青プレイヤーたちが自国の軍隊の配置転換、近代化、即応性の改善などを行い、場合によっては軍事行動に出ると。

そして③赤・投資と行動フェイズで、赤プレイヤーたちが、実際にコストを払って行動カードを処理したり、軍隊の改善などを行う。

その後、④資源配分更新フェイズで、各プレイヤーは新たな資源ポイントを獲得し、最後に⑤世界情勢要約フェイズでは、白チームが、このターンに発生した世界情勢の変化や、起きたかもしれない仮定なども含めて、現実世界の物語としてナラティヴ的に語ると。

このルール進行、かなり曖昧に書かれているが、やはり一般的なボードゲームとは違って、きっちり勝敗を争うゲームではなく、あくまで教育的ツールなので、各プレイヤーも紳士的に振る舞うことが求められる。また、教育的なゲーム進行を阻害しないためにも、白チームのファシリテイターたちがいるわけで、赤プレイヤーたちも、シナリオ設定や白チームのガイドラインに沿った行動が求められる。 

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青プレイヤー(アメリカとNATO/EU)側は、行動カードが少なく、国内事件と投資カードが多い。投資カードは、自国の軍備を増強するカードであり、大半は10面体ダイスを振って、どれだけ軍備増強が進捗したか、しなかったかを判定する仕組み。

国内事件カードは、シナリオに従って、白チームによって発動される。アメリカの国内事件を見ると「テロリストによる攻撃」「迎撃ミサイル実験の成功/失敗」「アメリカ大使の発言がソーシャル上で炎上」等々があり、それによって軍備の進捗や、配備・増強コストに影響する。ちなみに日本に関係したカードもあり「中国の軍事的脅威を懸念した日本が、アジア太平洋地域でのアメリカ軍の展開コストを肩代わり(削減)してくれる」というもの。日本はお金で貢献するしか……

NATO/EU側の国内事件には「シリア難民による女性殺害事件によってドイツで極右が台頭」「住民投票によってスコットランドがイギリスから離脱」等もあり、現実世界同様に悩みそう。 

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対する赤チーム(ロシア、中国、北朝鮮、イラン)は、行動カードが多め。ロシアと中国の行動カードは、グレーゾーンでの圧力=ハイブリッド戦略から、実際の武力侵攻まで、さまざまな段階によって行われる。ロシアには、他国の大規模選挙に介入したり、サイバー戦を仕掛けるカードもあり、中国には一帯一路(シルクロード)や、アフリカ諸国ヘの投資など経済的行動カードもあり、南シナ海での緊張を高めるカードもあり、あの手この手という感じだ。一方、北朝鮮とイランは、長距離ミサイルのテストによる挑発や、外交交渉によってポイントを稼ごうとするカードが多い。北朝鮮には、韓国へ侵攻するカードもあるが、それも特殊部隊によるものだけか、韓国島嶼部への限定的な侵攻か、あるいは全面的な侵攻かと、選択肢は複数揃っている。

そんな赤チームも、白チームによってネガティヴな国内事件を引き起こされる可能性がある。ロシアなら「市民の蜂起」「第三次チェチェン戦争」「ISISによるモスクワ攻撃」「プーチンの退任」が、中国なら「軍事人的資源の弱み(教育の低さ)」「ベトナム漁民殺害による関係の悪化」、 北朝鮮なら「指導者の死」、イランなら「民主主義者が選挙で選ばれる」等々。まあ、いずれも現実的な可能性のある事態だし、それにどう対処するかという教育的側面もあるわけだ。

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さらに白チームは、国際事件(International Event)カードも使用できる。こちらは「シリアの難民危機」「ボコハラム」「在日米軍の増強(日本はまたコストを肩代わり)」「韓国による太陽政策(親北朝鮮寄り)」「カシミール地方での核物質盗難」「中国の経済活動に対するアフリカ労働者の反発」「イスラエルによるイラン核施設への爆撃」 「中央アメリカでのハリケーン被害」「湾岸諸国での産油量減による原油価格の上昇」「エボラウィルスが南米に感染拡大」「南スーダンでの虐殺」「トルコとクルド族の対立」「ギリシャが押し寄せる難民に悲鳴」「インドと中国の武力衝突」「インドとパキスタンの武力衝突」「中国のシルクロード戦略へのテロ攻撃」「インドネシア地震津波」「ベラルーシが西側諸国に接近」等々、こちらも現実味のあるイベントが用意されている。

とまあ、長々と書いたが、まさに国防のプロフェッショナル向け教育ツールで、非常に興味深いシステムを搭載している反面、とても自分のような民間ホビー・ウォーゲーマーが手を出せるシロモノではなかった。そもそも人数が揃わないし、ソロプレイにも向いていない。

と言って、我が家で死蔵するのももったいないので、どこか国防、軍事、安全保障に関連する公的機関や研究所、大学等々で、このゲームが欲しいところに無償でご寄贈しようと思う。この記事を読んでご興味を持たれた関連機関の方は、takeo.ichikawa@gmail.comまでご連絡を。一応、開封済みですが、駒などは未切り離し状態です。特に厳正な審査も抽選もせず、こちらが贈りたいところへお贈ります(^_^)

【The Second World War】「TSWW:Day of Infamy」Operation MI Solo-Play AAR Part.1

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ようやく年内の仕事も終わったので、年末年始のソロプレイ期間に突入。この時期に、やっつけておきたいタイトルやシナリオをいくつか遊んでおこうと。

というワケで最初に選んだのは「TSWW:Day of Infamy」のミッドウェー作戦シナリオ「Operation MI」。今年は、ミッドウェー戦を扱った映画も上映されたので(未見なので評価は知らん)、それに合わせて今年夏頃にプレイしたかったのだが、結局この年末までズレこんでしまった。まあ、昨年末も「TSWW:Day of Infamy」のウェーク島シナリオをソロっていたので、1年に1本ずつシナリオを消化していくというのも良いかもしれない。

シナリオ自体は、もちろんミッドウェー島に対する日本軍の攻略作戦がテーマなのだが、勝利ポイントは、撃沈した艦船によってのみ獲得できる。つまり史実の日本軍が感じた『島の攻略と、敵艦隊の撃滅、どちらを優先するか』で悩む必要はない。敵艦隊の撃滅を優先すればいいのだ。まあ、このシナリオもあくまで空母戦の練習用シナリオなので、それで良いのだろう。

日本軍としては、まず1942年6月前半ターンの第1海上移動セグメントに、空母4隻を擁する第1機動部隊が地図盤北端から進入し、ターン最後の第4海上移動セグメントまで第1機動部隊が洋上にあるなら(無事なら)、戦艦大和を中心とする主力部隊や上陸部隊を乗せた攻略部隊が登場する。なので、1942年6月前半ターンの、日米双方、4回ずつの海上移動セグメントでどこまで戦えるかを競うシナリオだと思う。 

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なので日本軍としては、第1機動部隊がどこまで戦えるかにかかっているし、その戦いぶりによっては、主力部隊・攻略部隊の出番が無く、シナリオ終了となるだろう。その陣容は史実通り、空母4隻、戦艦2隻、航空(水上機)巡洋艦2隻、軽巡1隻、駆逐艦11隻となっている。駆逐艦・秋雲は、油槽船の護衛に就き、機動部隊からは離れている。
航空戦力は、航空巡洋艦・筑摩と利根を合わせて零式水偵0.5ステップを有し、さらに4隻の空母それぞれに零戦0.5ステップ、97艦攻0.5ステップ、99艦爆0.5ステップとなっているが、ミッドウェー島を占領した後、島に揚陸するはずだった予備の零戦0.5ステップもあり、これも通常通り、作戦が行える。ただしこの5個目の零戦を使うには、4隻の空母すべてが生存していることが条件であり、どれか1隻でも空母が沈んだら、5個目の零戦は失われてしまう。

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対するアメリカ軍は、空母エンタープライズとホーネットを擁するTF16と、空母ヨークタウンを擁するTF17に分かれている。こちらのTF16でも、予備のF4F4戦闘機が0.5ステップあり、やはり2隻の空母どちらかが沈んだら使用不可となる。

他にもアメリカ軍側には、ミッドウェー島の航空戦力や潜水艦隊があり、シナリオ配置にはハワイ方面の戦力も含まれているが、まあ、割愛していいかなと。

ちなみにこの「Operation MI」には、日米双方に仮想オプション設定が用意されている。たとえば「空母ワスプの投入」「空母瑞鶴の投入」「AL(アリューシャン)作戦のキャンセルによる戦力の転用」は、まあ理解できるが、中には「ミッドウェー島ではなくハワイ諸島への上陸」という仮想設定もある。とりあえず今回はオプション無しの、素のシナリオを試してみようと思う。ではソロプレイ開始……

【The Second World War】「TSWW:Day of Infamy」Operation MI Solo-Play AAR Part.2

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では、TSWWミッドウェー作戦シナリオ、ソロプレイ開始。

1942年6月前半ターン、先手は日本軍。まず移動フェイズ=第1海上移動セグメント。空母4隻を擁する第1機動部隊は、アメリカ軍空母を撃滅すべく、ミッドウェー島を素通りし、米空母部隊がいると思われる海域へ進出した。日本軍はこの移動中に、筑摩・利根から零式水偵を発艦させ、まずTF16(空母エンタープライズとホーネット)に対して索敵を行った。やはり空母2隻を擁するTF16は危険だし、先制攻撃をかけて潰してしまった方が後々の作戦がやりやすい。しかしこの索敵が失敗。1海上移動セグメント中には、1目標に対して1回しか索敵が行えないので、これにてTF16への先制攻撃の夢は潰えた。ならばと第1機動部隊はさらに北上し、TF17(空母ヨークタウン)にも索敵を行い、こちらは発見に成功した。

ここまでで、第1機動部隊は16海上ゾーンを移動し、戦略移動力を16消費している。さらに2回の索敵を行ったため+2消費、攻撃隊を発艦させるためさらに+1消費、合計19戦略移動力を消費した。

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第1機動部隊の艦載機は、CAPと水偵を残して全機、TF17=空母ヨークタウン隊に向けて発艦。索敵チェックに続いて、敵艦隊発見チェックにも成功した(失敗すると、索敵に成功していても、敵艦隊を見つけられず帰投しなければならない)。

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日本軍攻撃隊は、まず空母を潰すべく、空母ヨークタウンに99艦爆✕2、97艦攻✕2、重巡アストリアとポートランドにそれぞれ99艦爆✕1、97艦攻✕1を割り当てた。米軍CAPのF4F-4戦闘機は、空母ヨークタウンを狙う艦攻隊を攻撃し、これを1個撃墜。しかしこのCAPは、護衛の零戦3個から攻撃を食らって、こちらも撃墜。さらに艦隊の対空射撃(総対空力13)が行われたが、空母ヨークタウンに迫る艦爆隊を1個帰還させただけで、ステップロスは与えられなかった。帰還した艦爆隊にしても、爆撃力の75%は投下している。

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99艦爆は、作戦爆撃力2だが、急降下爆撃機(タイプD)による作戦爆撃任務は爆撃力+50%となるため、作戦爆撃力3として攻撃する。97艦攻も、コードCV(艦載機・魚雷装備)のため魚雷力3を持つ。つまり、それぞれ3回ずつ命中判定を行う。結果、空母ヨークタウンには、99艦爆隊が3ヒットを与え、97艦攻隊が2ヒットを与えた。空母ヨークタウンの防御力は6なので、ヒットポイントは4。許容量を上回るダメージを受け、ヨークタウン沈没。史実での空母ヨークタウンは、ミッドウェー戦の最後に撃沈されたが、ここでは最初に喪失されることとなった。しかし重巡アストリアへの攻撃は、6回ともすべて失敗。これはダイス目がヒドかった。重巡ポートランドへも、艦爆隊が1ヒットを与えたのみ。ポートランドの防御力は5なので、ヒットポイントは3。耐久力1/3を失って中破、というところだろうか。

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手番代わって、第1海上移動セグメントのアメリカ軍の移動。空母ヨークタウンを失ったTF17は、損傷した重巡ポートランドをハワイ方面に避退させ、それ以外はTF16に合流。アメリカ軍は、艦艇の対空力を合算できるので(日本軍はできない)、防空能力を高めて日本軍の航空攻撃を迎え撃つ準備と。ミッドウェー島からはPBY5カタリナ飛行艇0.5ユニット✕3が海上偵察任務に発進したが、これがすべて日本軍第1機動部隊の索敵に失敗。さらにTF16自らも、日本軍の索敵に向かったが、これにも失敗。仕方なくTF16は、ミッドウェー島方面に移動した。次の第2海上移動セグメントでは、また日本軍が先手となって攻めてくるため、ミッドウェー島の航空戦力と、周辺海域で哨戒中の潜水艦戦隊も活用しやすい位置に移った形だ。逆に日本軍からすれば、この位置のTF16に攻撃を仕掛けるのは危険と……

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続いて第2海上移動セグメント。先手日本軍は、第1機動部隊をミッドウェー島に接近させ、TF16の索敵を試みたが失敗。そのまま島周辺にいると、島の航空戦力にも攻撃されてしまうので、いったん北方へと避退した。

代わって第2海上移動セグメントのアメリカ軍。ようやくミッドウェー島のPBY5が、日本軍第1機動部隊を発見。TF16もその海域に接近し、攻撃隊を発艦させたところ、敵艦隊発見チェックにも成功。いよいよアメリカ軍攻撃隊が、日本軍空母に襲いかかった。

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アメリカ軍は、まず耐久力の低い空母蒼龍・飛龍を潰そうと、TBD、SBDを0.5ユニットずつ割り当て、空母赤城・加賀にはSBDのみを割り当てた。これに対して、CAPに就いていた零戦0.5✕2ユニットが迎撃し、飛龍に向かっていたTBD隊を撃墜。しかしそのCAP隊も、護衛に就いていたF4F-4✕3との空戦で2個とも撃墜された。第1機動部隊は対空火力でも応戦したが、日本軍の場合、輪形陣などを取れ入れていないため、艦隊の全艦船の対空力を合算するのではなく、主力艦1+巡洋艦1+駆逐艦1の対空力だけを用いる。そのため4(空母加賀)+2(利根)+1(野分)=6対空力のみ。これはまったくアメリカ軍側に被害を与えられず、そのまま攻撃と相成った。

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攻撃の結果、空母赤城に3ヒット(防御力7=ヒットポイント5なので中破)、空母加賀に4ヒット(同じくヒットポイント5なので大破)、空母蒼龍は3ヒット(防御力5はヒットポイント3)なので撃沈、空母飛龍は2ヒット(同じくヒットポイント3なので大破)となった。赤城と加賀には、クリティカルヒット(判定時に10面体ダイスを振って10が出る)も出たため、攻撃隊の規模に反して甚大な損害を被ってしまった。また空母は、1ヒットを被るたびに、艦載機1スコードロン(0.5ユニット)を失う判定を行うが、これによってその艦載航空隊がほぼ全滅してしまった。

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さらにミッドウェー島から、アメリ海兵隊のSBD-2、SBD-4、アメリカ空軍のB17Eが追い打ちをかけるように攻撃。SBDは、その通常航続距離外にあったので、延長距離飛行を行い、爆撃力は半減している。しかしこのSBD隊が、弱った空母赤城と加賀にトドメを刺し、これを撃沈。B17Eの攻撃は失敗したため、空母飛龍だけが、ぎりぎり首の皮一枚残して生き残った。

史実ならこの後、猛将山口多聞指揮の下、空母飛龍が一矢報いる攻撃を行うのだが、あいにく飛龍にも艦載機が残っていない。ここで「たとえシナリオでもキャンペーンゲームのようにプレイすべし」という格言に従うなら、日本軍としては速やかに撤収し、せめて空母飛龍だけでも修理して再起を期す……という感じだろうか。 

というワケで、適当にソロプレイした割には、かなり史実に近い結果(日本側空母3喪失、アメリカ側空母1喪失)になったと思う。タラレバ的に振り返るなら、第1海上移動セグメントで、日本軍がTF16への索敵・先制攻撃に成功していれば、その後の展開もまったく違っていたと思う。ただ、TSWWでは、日本軍の艦隊防空能力が低く設定されているので、キャンペーンゲーム等をやっていれば、いずれどこかで空母隊を喪失するような攻撃を喰らうのだろう。TSWWでは、目標以外の艦艇が被害を引き受けることはできないし、狙われた艦だけが攻撃を被るため、当然のように空母が狙われ、いずれやられると。それはもう身もフタもない展開なのだが、航空攻撃とか潜水艦攻撃ってそういうものよね?

「Stalingrad'42」Operation Uranus Solo-Play AAR

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Merry Christmas! 年末年始のソロプレイ・シリーズとして、次は「TSWW:Barbarossa」の天王星(ウラヌス)作戦シナリオでもと思ったが、よく考えたら、それより前に購入したGMT「Stalingrad'42」の天王星作戦シナリオに触れていなかった。ややこしいTSWWを始める前に、それよりは簡単なシモニッチ御大の「Stalingrad'42」からということで。 

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しかし、さらによく考えると、天王星作戦そのものを切り取った作戦級ゲームやシナリオにも、あまり触れたことがない。自分が所有している「OCS:Enemy at the Gates」「OCS:Case Blue」にも、この1942年末のソ連軍の冬季反攻⇨スターリングラード包囲に至る戦いは含まれているが、なにせOCSのそれは規模がデカ過ぎて、我が家ではプレイ不可。VASSALならプレイ可能だが、まだ未踏峰になっている。 

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シナリオは、まず第1(1942年11月12~19日)ターンのソ連軍フェイズから。この第1ターンに、ソ連軍は戦術移動(2ヘクスまで)と鉄道移動しかできない。今回は、プレイブックに載っていた第1ターンのプレイ例を見つつ、ルールを思い出しながら進めてみた。スターリングラード北西では、早くもソ連第5戦車軍が、脆弱なルーマニア軍戦線を突破し、ドイツ第6軍の背後に進出した。 

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スターリングラード南部でも、ソ連軍は同じくルーマニア軍戦線を食い破り、早くもドイツ第4装甲軍司令部に達している。プレイ例を読むと、この第4装甲軍司令部が枢軸軍反撃の鍵になるそうで、さっさと脱出させた方が良いそうだが、あいにくこの後…… 

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手番代わって、第1ターン裏の枢軸軍。ここでの枢軸軍も、交代ターン(ルール33.2.3)という、限定された移動と戦闘しか行えなくなっている。それでも一応、前線から部隊を後退させ、包囲網から脱するための機動反撃戦力を捻出。このあたり、ちまちまとした戦線整理に追われた。 

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続く第2(1942年11月20~23日)ターン。先手ソ連軍は、ドイツ第6軍、第4装甲軍を一網打尽にしようと、南北から迫った。しかしソ連軍の増援部隊は北から来るばかりで、南方が手薄になっている。北から徐々に南に部隊を押し下げていくイメージがあった方が良いのかもしれない。 

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第2ターン裏の枢軸軍。包囲されてたまるかと、ドイツ軍装甲師団が内側からの突破攻撃に出た。しかし最初から損耗している師団が多く、ソ連軍を後退させるだけで、損失を与えられない。一応、まだかろうじて外部との補給線はつながっている。 

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第3(1942年11月24日~28日)ターン。先手ソ連軍は、北から戦力を押し下げ、脱出しようとしたドイツ第29装甲擲弾兵師団を包囲して除去。そのまま再び包囲網を閉じた。しかし相変わらず、南部の包囲が薄い。この後、枢軸軍ターンとなり、増援のマンシュタイン将軍(断固とした防御と、交戦離脱のダイス振り直し可)と第6装甲師団が登場して解囲作戦が始まるが、今回は味見なのでソロプレイもここまで。

とりあえず枢軸軍としては、ルーマニア軍戦線が呆気なくやられてしまうので、がっぷり四つに組んだ戦線から、どうやって機動戦力を引き抜くかが大事かなあと。ソ連軍からすれば、北を主攻、南を助攻とし、徐々に戦力を南にシフトしていくことを念頭に置いた方が良いかも……という感触。まあ、この程度の練習ソロプレイでも、軽く一度触れておくと、本番の対戦にも役立つので。ただ、青作戦シナリオとどっちをプレイしたいかと言われると、個人的には、豪快な機動戦の青作戦かなと。こちらの天王星作戦は、マップ2枚を使う割に、実際の戦闘の焦点はスターリングラード周辺だけだし、だったらマップ1枚をフルに使う青作戦の方が、自分の中では優勢である。

【参考文献】「幻の東部戦線 第二次大戦後のドイツ再軍備と冷戦」

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幻の東部戦線 ([バラエティ])

幻の東部戦線 ([バラエティ])

 

月刊PANZER誌2017年3月号~2019年7月号に掲載されていたという連載「幻の東部戦線」がまとめてムック化されたので購入。恥ずかしながらPANZER誌は普段、立ち読みもしていないので、そんな連載があったことすら知らなかったが、こうしてまとめて読んでみると、第二次大戦後のヨーロッパでの東西対立が、西ドイツの再軍備を中心に概説されていて、非常に勉強になる。

最近も「SCS:Iron Curtain」という、1950~1980年代を想定した第三次世界大戦ウォーゲームが出版されたが、いまだにこの仮想テーマは(特に冷戦時代を知っている世代にとっては)人気がある。本書ではその背景として、旧ドイツ軍人たちの復権リデルハートの関与や、朝鮮戦争ベトナム戦争中東戦争の戦訓を活かしての東西ドクトリンの変遷などが記されていて興味深い。個人的には、子供の頃に雑誌などで見かけたカノーネ突撃砲が誕生した背景にそんないきさつがあったのかと思ったり。まあ、自分も、この東西冷戦時代に戦車プラモデルからウォーゲーム趣味に入った一人なので、やはりこの時代には特別な思い入れが残っているようだ。 

冷戦 ワールド・ヒストリー(上)

冷戦 ワールド・ヒストリー(上)

 
冷戦 ワールド・ヒストリー(下)

冷戦 ワールド・ヒストリー(下)

 

 

【Wargaming Column】ゆく年くる年2020

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ここ数年恒例、今年購入したウォーゲームたちで記念写真。

今日は、FORGERさん、N村さんとのオンラインお茶会に参加してきた。例年この時期は、年末ゲーム会かコミケついでに集まってお茶するのが常だが、やはりコロナ渦で集まるのは控えようということで。まあ、今年はとにかく新型コロナに席巻された一年だったが、自分個人のウォーゲーム活動で言うと、そもそもゲーム会に参加せず、自分の好きなタイミングでソロプレイをするという、ほぼ引退状態に移行していたので、あまり影響はなかった。ただ、今までソロプレイ用に使っていたテーブルで、リモートワークをする機会が増えたので、ゲームを広げっぱなしにできなくなった程度。それもVASSALを活用したり、リモートワークの無い時期にゲームを広げる等して対応した。

【2020年の購入ウォーゲーム】

今年購入したのは、ウォーゲーム15個+3冊+ASL13点。そういや集合写真に「Hedgemony」入れてなかったけどまあいいか。あれは別枠。昨年も購入が10個を超えてしまったが、今年もさらに越えてしまった。OCS、CSS、GOSS、TSWWの新作は予定通り。しかしよく考えると、数年に1作しか出ないシリーズの新作がカブった一年でもあった。うっかりメルカリで、レッドサンブラッククロス3点セットを買ってしまったのは想定外。GMTのNEXT WARシリーズにまた手を出したのは、時代の変化に対応して……ということにしておこう。そして写真右隅に、しれっと映っているVG「Pacific War」は、年末ぎりぎりにネットオークションで買ったモノ。これは年明けに紹介記事を書く予定。2020年は、ちょっとゲームを買い過ぎた感もあり、反省はしているけれど後悔はなし。

【2020年のウォーゲーム・プレイ】

今年プレイできたのは「Stalingrad'42」「TSWW : Hakkaa Päälle」「TSWW:Singapore !」「CSS:The Fulda Gap」「OCS:Hungarian Rhapsody」「TSWW:Barbarossa」「TSWW:Day of Infamy」そしてASL2回と、TSWWに偏っていた。まあ、とりあえずTSWWの小さなシナリオから潰していって、プレイの練習を重ねた一年だったと。そんな中でも一番楽しめたのが「TSWW:Singapore !」のインパール作戦シナリオだった。インパール方面だけでなく、アキャブ、雲南方面も平行して作戦を行い、その背後の補給線まで意識させるというスケールは、TSWWシステムに合っているなあと。

【2021年の購入ウォーゲーム予想】

まず、もうすでにプレオーダーしているし、代金も支払い済みなのが「TSWW:Operation Watchtower(南太平洋編)」「BTW:La Guerra(スペイン市民戦争)」。メーカーからは11月に印刷に入ると連絡があったが、あいにくイギリスがまた新型コロナでロックダウンに入ったため、発売が来年に持ち越された。GTSの新作「Race for Bastogne」も来年こそは出るかと。他には「Less Than 60 Miles」の続編「The Dogs of war」もすでに発売が近いようである。GMTから再版される「Pacific War」も入手する予定。現時点で見えているのは、そんなところ。ただ、2020年の買い物傾向からして、旧作ゲームをオークションで手に入れそうな予感もしている。もしかすると一回断捨離した後の、コレクション再構築フェイズに入ったのかもしれない。あまり買いすぎないよう、気をつけよう…… 

【2021年のウォーゲーム・プレイ予想】

2021年の課題としては、2年前に購入した「A World at War」が筆頭。これまったく手が出ていないので、年明けにカウンター切るところから始めたい。「A World at War」の開戦前を扱う「Gathering Storm」「Storm Over Asia」も翻訳しようかと思ったが、他に手を挙げられた方がいたので、そちらにお譲りすることに。ただ「A World at War」も、2003年版の和訳しかないので、最新版にアップデートしたい。

さらに次の翻訳タイトルはGOSS。昨年「Lucky Forward」も出て、ルールも最新版になったので、いよいよかなと。3段組80ページのルールブックは目眩がする分量だが……。年末に買った「Pacific War」もGMTの再版と併せてプレイ候補。TSWWも新作が出れば、またそのルール訳、ミニシナリオの味見が始まるかと思う。

という感じで、2021年も隠者的に活動するかと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。


【The Second Word War】「Barbarossa」Operation Uranus Solo-Play AAR Part.1

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2021年初のソロプレイとして「TSWW:Barbarossa」の天王星作戦シナリオを開始。もちろん、年末にちょっとだけプレイした「Stalingrad'42」と同じく、スターリングラードに攻め込んだドイツ第6軍を、ソ連軍が包囲する作戦である。TSWWの規模でユニットを並べると、フルマップ1枚弱に収まり、なんだ、こんなサイズかと思えるほど手頃。しかしユニット数は少なく見えるが、これを総数7840個の中から探し出すのが、ヒジョーに手間だった。シナリオのセットアップ情報にも間違いが多く、元旦の午後からセットアップを始めて、ほぼ丸一日。マトモに考えれば、VASSALで並べた方が断然簡単なのだが、今回はあえて実際に並べてみた。ユニットが並んでいる写真も撮りたかったしね。 

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ユニットに埋もれて、まったく見えないが、青い丸で囲まれた2ヘクスがスターリングラード市である。北ヘクスをドイツ軍が占領し、南ヘクスをソ連軍が保持している。しかし史実的には、むしろまだ北ヘクスを奪い合っているような気がする(GMTのStalingrad'42も同様)。ただゲーム的には、ソ連軍が南ヘクスを握っていた方が、より多くのドイツ軍を包囲網に捕らえられるかもしれない……という処理なのか。

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こちらは、北からハンガリー軍(緑地に白文字)、イタリア軍(薄緑)、ルーマニア軍(青地に黄文字)が連なる枢軸軍戦線。ルーマニア軍は、この戦いでのヤラレ役だが、強い色味のカウンターのせいか、妙に強そうに見える。 

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さて第1(1942年11月後半)ターン開始。天候は晴天、地表は凍結。特にシナリオ的な指示はないが、事前に凍結ターンが続いたものとして、河川が凍結し、渡河するペナルティも無いものとした。まずソ連軍は、突破予定地域3カ所に航空戦力を送り込み、敵ユニットの戦闘効率補正(CEV)を下げる、戦場航空阻止(BAI)ゾーンを展開せんとした。これに対して枢軸軍も迎撃機を上げ、護衛戦闘機にステップロスを与えたものの、3カ所とも追い払われ、ソ連空軍に圧倒されるスタートとなった。しかしソ連軍も、まだまだ作戦爆撃力は低く、3カ所ともレベル1の戦場航空阻止ゾーン(戦闘効率補正-10%)のみ。

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スターリングラードの南では、ソ連第4機械化軍団(33-16)スタックが、ルーマニア軍の前線部隊をオーバーランで踏み潰し、その後方にいたルーマニア第7軍団司令部を攻撃した。これを守るのは、ドイツ空軍地上連隊、SS警察大隊、ルーマニア工兵大隊という、まったく頼りにならない連中で、呆気なく全滅。またソ連第13戦車軍団(17-15-16)は、ドイツ第4装甲軍司令部を攻撃し、これを後退させている。 

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西のルーマニア軍戦線に対しては、まず移動フェイズで後方から砲兵部隊を呼び寄せてからの慎重な攻撃で幕開け。ソ連第1、第4、第26戦車軍団スタックがそれぞれ枢軸軍戦線を押し下げ、ドイツ第8、第9軍団司令部に迫っている。さらに西では、史実よりも早く、イタリア軍戦線に対する小土星(リトル・サターン)作戦が発動。ソ連第1親衛機械化軍団(32-16)スタックが、イタリア軍戦線を食い破りつつある。

これに対して枢軸軍は、次の反応フェイズで、南のElistaにいた第16装甲擲弾兵師団を急遽北上させ、ルーマニア軍戦線の穴を繕った。そして包囲の危機に陥ったドイツ第6軍は、ここでいったん後退して戦線を整理したいが、ルール17.4.e.xi「一歩も退くな」という、西への後退許可が出るかどうか、ダイス判定を行う必要がある。判定は、10面体ダイスを1個振り、1が出れば自由に移動可能、2か3なら1ヘクスだけ自由に移動、4から8なら後退不可、9なら反撃のための移動は可能、となっている。この判定に、スターリングラード近辺のスタックがことごとく失敗。まあ、50%で後退不可だから仕方ない。そのためドイツ第6軍は、危機にありながらも、まったく位置を変えられないという状況に陥った。さらにこの後退判定は、ドイツ軍にのみ課せられるため、一部地域では、ルーマニア軍が、一緒にスタックしていたドイツ軍ユニットを置き去りにして後退するという場面もあり、枢軸同盟の破綻が見えてきたような……

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さらにドイツ軍反応フェイズに続く、ソ連軍追撃フェイズでは、攻勢補給を受け取っていたソ連軍自動車化・騎兵部隊が、全力移動によるオーバーランを仕掛け、逃げ惑う枢軸軍部隊を踏み潰していく。こうしてドイツ第6軍が包囲されるまであと3ヘクスと迫ったあたりで、今日はここまで。この後、第1ターンの後手、ドイツ軍プレイヤーターンとなるが、果たして……

【The Second World War】「Barbarossa」Operation Uranus Solo-Play AAR Part.2

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「TSWW:Barbarossa」天王星作戦シナリオ、第1(1942年11月後半)ターン、後手、枢軸軍プレイヤーターン開始。引き続きスターリングラード周辺のドイツ軍部隊は、後退許可を求めたが、第3装甲擲弾兵師団スタックに「反撃のための移動なら可」という返事が来たのみ。その第3装甲擲弾兵師団にしても、ソ連軍の影響ゾーン(ZOI)に阻まれ、包囲網から脱することはできなかった。南部では、Elistaから北上してきた第16装甲擲弾兵師団スタックにのみ、行動の自由が許されたが、すでに周囲のルーマニア軍部隊は壊滅し、孤立無援の状態となっている。 

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西では、ドイツ第22、第27装甲師団ルーマニア第1戦車師団によって、ソ連第1親衛機械化軍団への反撃が行われたが、あいにく攻撃側後退。こちらもじわじわと戦線を押し下げられている。 

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代わって、第2(1942年12月前半)ターン、先手、ソ連軍プレイヤーターン。天候は、引き続き凍結、そして雪。ソ連軍は、ドイツ第6軍の包囲を完成させるべく、南北から圧力をかけた。 

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その結果、南では、ソ連第4機械化軍団が、ドイツ第29装甲擲弾兵師団を撃滅。ソ連第13戦車軍団も、ドイツ第4装甲軍司令部を押し潰して、包囲網を東から狭めていった。しかし北からの攻撃に対して、ドイツ第VIII軍団司令部スタック(減少状態の歩兵師団と砲兵)が予想外の健闘を見せ、その前進を阻止したうえ、ソ連第3親衛騎兵軍団をステップロスさせた。 

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西では、さっきのお返しとばかりに、ルーマニア第1戦車師団が攻撃され、ステップロスして後退。ソ連第2親衛歩兵師団も、イタリア軍前線を蹴散らし、山岳軍団司令部へ迫っている。

続いて、第2ターン、後手、枢軸軍プレイヤーターン。このプレイヤーターンから、遂にドイツ第6軍に補給線が通らず、包囲網の中のスタックはすべてU1(孤立1:攻撃力と防御力と移動力が1/2に、影響ゾーンが減少状態に、反応と追撃移動無し)となった。このまま補給切れが続けば、次のソ連軍プレイヤーターンの開始フェイズで、ドイツ第6軍はU2(孤立2:攻撃力1/4、移動は1ヘクスのみ、10面体を振って7以上なら除去)となってしまう。

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この包囲網を救うべく、一般補給ポイント(GSP)を空輸するため、ドイツ軍飛行学校からもかき集められた(とシナリオ設定に書いてある)輸送機部隊が到着。航続距離の長いFw200輸送機などは、航空基地からスターリングラードまで2往復できるため、倍の輸送能力を使って、総計15輸送力✕4=60一般補給ポイント=60個連隊分の補給物資を理論上は運べるが、凍結ターンでは空輸量が1/2となる。さらに、すでに護衛の戦闘機部隊も、前線から離れた航空基地に退避しているため、スターリングラード上空まで飛ぶには、長距離飛行(額面航続距離の2倍まで飛行できるが空戦が半減する)を使うしかない。つまり空戦力9のMe109戦闘機でも、空戦力4となり、ソ連軍のYak-1(空戦力7)やMig-3(空戦力6)に負けてしまう。それでも行くしか無いぜ!と飛び立った空輸部隊だが、案の定、ソ連軍戦闘機の迎撃を受け、半数以上の輸送機が追い返される結果となった。一応、多少の一般補給ポイントは届けたが、第6軍全体を救えるほどの量ではなかった……

一方、地上では、増援のドイツ軍第9、第23装甲師団が到着。両師団は、ドイツ第6軍の包囲を解くべく、ソ連第4戦車軍団に殴りかかったが、結果はあいにくEX(相互損失)。スタック規模の小さいソ連軍が全滅したものの、それと同数のスタックポイントをドイツ軍側も失うことになり、相討ちの形で第23装甲師団が全滅。第9装甲師団もステップロスという、散々な結果と相成った。

またこのターン、枢軸軍はスカスカになった戦線を埋めるべく、後方で遊んでいる部隊はいないかと、スタックの中身を探しまくったが、残っているのは戦力0の鉄道工兵連隊ばかりだった。 

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代わって第3(1942年12月後半)ターン、先手、ソ連軍プレイヤーターン。この開始フェイズで、さらにドイツ第6軍の補給状態が悪化し、U2(孤立2)に。写真上は、早くも補給除去判定でお亡くなりになった皆さん。おお、第369クロアチア歩兵ユニットもスターリングラードの露と消えたか…… 

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ソ連軍は、このターンで一気に包囲網を締め上げ、ドイツ第6軍司令部もここで除去。スターリングラード北ヘクスはまだドイツ軍が保持しているが、このまま補給切れ除去判定を待てば、自然と減っていくのだから、無理に攻める必要もない。 

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次の枢軸軍プレイヤーターンには、また増援としてドイツ第17装甲師団も到着するが、もはや状況的には焼け石に水。枢軸軍としては、第6軍救出は諦めるしかない、という史実に近い状況となったので、今回のソロプレイはここまでとした。

まあ、昨年からちまちまとTSWWの練習プレイを続けて来たが、ようやく大機甲部隊による、オーバーランありの機動戦までたどり着けた。TSWWは、1ターン=半月のゲームだが、自軍移動中のオーバーラン、戦闘フェイズでの攻撃、戦闘後前進中のオーバーラン、追撃フェイズのオーバーラン、敵軍反応フェイズでのオーバーランと、意外と攻撃チャンスはある。ただ、オーバーランを行うには、かなりの戦力を集めたキラースタックが必要であり、今回もソ連軍機械化軍団スタックが猛威を振るうことになった。戦闘結果でEX(相互喪失)を喰らう場合も、スタック規模が小さい方が全滅するため、スタック負けしないためにも、ある程度の戦力を集めた方が良いなと(あればの話だが)。

また今回は、空輸による地上部隊への補給が行われたが、これもあらかじめ、スターリングラードが孤立することを想定して、枢軸軍戦闘機を通常距離で飛ばせるように前線をキープしたいところ。またソ連軍としても、空輸部隊が来ることを想定して、迎撃戦闘機をスターリングラード周辺に配置したり、移送しておく必要があるなと。

しかし今回も、ユニットを配置するのが死ぬほど面倒だったので、やはりTSWWは、VASSALでプレイすべきゲームだと再確認した。ハイスタックが込み入った状況でその中身を調べるのも手間だし、やり直したり訂正するのも楽だし。まあ一応、実体物としてのゲームも買ったので、数年に1回ぐらいは、こうして実体プレイをするのも良いかもしれないが……(^_^;)

【Battalion Combat Series】「Brazen Chariots」Operation Crusader Solo-Play AAR Part.1

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昨年11月から始めていた、BCS(Battalion Combat Series)のv2.0ルール訳がようやく年末に完成。最初は、まあ差分だけチェックして訳せばいいやと思っていたが、v1.2からv2.0になった際に、ルールの章立てがまったく変わり、説明文も全面的に書き直されていたため、またイチから訳し直すハメに。それでも乗りかかった船だとばかり、ルールブック、プレイブック、「Brazen Chariots」用のルールとヒストリカルノート、図表類も全部日本語化して、ようやくひと安心。とりあえずこれで1回プレイしてみるかと思っていたら、この前日、1月4日付で、また新たなv2.0ルールブックが公開されていた。まあ、恐らく微調整だろうが、正月から改訂作業をするのも面倒だったので、ひとつ前の、2020年12月3日版のv2.0ルールでBCSをソロプレイすることにした。

しかし手間がかかった割には、v1.2からv2.0に関して、大きなルール変更はなかった。スタック移動の禁止(ユニット個別に移動する)、支援中の長距離射撃(Stand-off)ユニットの射撃戦や直接射撃の禁止、急襲攻撃(Shock Attack)での砲兵ポイント使用可等々、細かい修整はあるが、大枠としてのプレイ感はあまり変わらないはず。新たに市街戦ルールも導入されているが、これは将来発売予定のBCS第4作「Panzers Last Stand」でのブタペスト攻囲戦で使用するものだろう。 

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そんなBCS2.0での初ソロプレイに選んだのは「BCS:Brazen Chariots」のクルセイダー作戦シナリオ。「Brazen Chariots」は、まだ小規模シナリオしか触れていなかったので、ここで大物シナリオを1回やっておこうと。一応クルセイダー作戦シナリオには、地図盤2枚だけを使うものもあるが、今回はキャンペーン仕様の3枚版。ちなみに我が家のゲームテーブル(150cm✕90cm)では、微妙に乗り切らなかったので、地図盤の下にプラスチック製の下敷きやら、固めのデスクマットを敷いて、なんとか安定させている。やればできるものよ。

お題のクルセイダー作戦は、1941年11月19日、英連邦軍が、トブルク要塞に立て籠もった味方部隊を救出するため、4個機甲旅団+3個歩兵師団で砂漠を突っ切り、要塞内の部隊と呼応して枢軸軍を叩こうとする作戦である。作戦開始日、珍しく豪雨が降っていたため、枢軸軍がこの攻勢に気づかず、攻勢の兆候もあったものの、その情報はロンメルを含めて軽視されていたため、英連邦軍の奇襲となり、対応する枢軸軍にも混乱が見られた。結局、12月初旬までかかって、両軍機甲部隊による殴り合いが続き、消耗戦に打ち負けた枢軸軍が後退し、トブルクは解囲されている。その翌年には、また枢軸軍がトブルクを奪い返すのだが、平坦な砂漠での戦車戦・機動戦という意味では、ウォーゲーム的にも人気が高いと思う。 

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こちらがそのトブルク包囲網。要塞内には、イギリス第70歩兵師団とポーランド歩兵旅団が立て籠もり、その周囲を、イタリア軍4個歩兵師団とドイツ・アフリカ師団が包囲している。このシナリオでは、そのすべてのフォーメーションが行動を「Lock」されており、英連邦軍が籠城を止めて打って出るか、どこからか攻撃されない限り、まったく活性化できず、プレイ上は無視して進める。救出部隊がトブルクまでたどり着くまでは、動かないということ。 

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こちらがトブルク救出に向かう、イギリス軍機甲部隊。一応、2方向から向かっているが「?」マークで示したHagfet el Hareibaで2級道路は終わり、そこから先は未舗装道路(Track)になっている。各フォーメーションの補給段列(Combat Train)は、1級か2級道路にしか配置できないので、ここでストップとなり、そこから最適距離である15ヘクス先にイギリス第4機甲旅団司令部を置いても、その指揮範囲は5ヘクスなので、トブルクまでは全然届かない。せいぜいドイツ・アフリカ師団の後背を脅かせる程度。なので、この真ん中の道を使わずに部隊をどこかに振り向ける必要がある。 

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こちらはリビア・エジプト国境の辺境戦線。枢軸軍が築いた地雷原マーカーがずらっと並び、イタリア軍サヴォナ歩兵師団と、88mm砲の使用で有名なバッハ戦闘団が陣取っている。英連邦軍は、こちらにも攻勢をかけ、海岸縁のハルファヤ峠か、内陸のリビアン・オマールを抜いて、後方のバルディアを落としたいところ。とまあ、フルマップ3枚の広い戦場に複数の焦点があるという、なかなか興味深い戦闘状況。BCSの場合、ユニット10個程度のフォーメーションを、お互いひとつずつ動かすプレイ手順なので、マップが広いからといってプレイが面倒になることはない。 

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ではソロプレイ開始。第1(1942年11月19日)ターン。英連邦軍は、道路事情の悪いHagfet el Hareibaの道を諦め、第7機甲旅団を西へシフト。Bir el Gubiを守るイタリア・アリエテ戦車師団を攻撃した。装備戦車的には劣るイタリア軍だが、この攻撃は首尾良く撃退。しかし英連邦軍は、さらに第22機甲旅団、支援集団を注ぎ込み、ガリガリとアリエテ戦車師団のステップを削っていく。もちろん、各ターンに受け取れる補充ポイントは、枢軸軍の方が少ない。射撃戦(Engargement)で「双方ステップロス」しても、立ち直るのは、英連邦軍の方が早いのだ。 

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ハルファヤ峠では、第11インド旅団が地雷原に入ったところで停止。対するバッハ戦闘団は、砲撃で迎え撃っている。バッハ戦闘団は、支援として88mm砲も備えているが、v2.0ルールでは、その88mm砲で敵歩兵を直接射撃(Attack by Fire)することは禁止された。

この攻撃に対し、枢軸軍主力であるドイツ第15、第21装甲師団も出動したが、まだ前線にはたどり着いていない。ちなみに第15装甲師団に至っては、トブルク攻略のための訓練中だったそうで、道路すら外れた、北の海岸縁に分散している。 

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続く第2(11月20日)ターン。英連邦軍は、前日の消耗を帳消しにするほどの補充を受け取り、さらりと復活。対するイタリア軍には補充が来ず、消耗したままのアリエテ戦車師団に、再び英機甲部隊が襲いかかった。またBir el Gubiの南には、第1南アフリカ師団も到着しているが、そろそろ各フォーメーションの補給ルートが混線してきそうな気配…… 

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ここでようやく、ドイツ第21装甲師団が、イギリス軍主力の側面を守る第4機甲旅団に攻めかかった。機甲旅団とは言っても、その装備はアメリカ製のM3ハニー軽戦車であり、III号戦車大隊が移動モードのまま殴りかかっても、撃ち負ける始末。まあ、M3ハニーの場合、戦闘モード(展開面)でも移動力が6もあるのは便利なのだが……(他のイギリス製戦車はもっと不便) 

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一方、ドイツ第15装甲師団は、第1・第2活性化とも完全に成功し、リビアン・オマールに迫ったインド第11旅団に一気に攻めかかり、まだ移動モードだったマチルダ戦車大隊を押し返した。しかしこれに対して、この日の増援であるニュージーランド師団が攻め寄せ、バレンタイン戦車ながらもドイツ軍と互角に撃ち合っている。 

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続く第3(11月21日)ターン。英軍主力の機甲部隊は、アリエテ戦車師団の戦車大隊をひとつ残らず殲滅し、トブルクへ前進。しかし側背に迫ったドイツ第15装甲師団に対応するため、第7機甲旅団を東へ差し向けた。その第7機甲旅団は、第1活性化の半減だけというニブさで東へ向かっている。まあ、本当はそういう器用な機動ができる子たちではないが仕方ない…… 

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その英第7機甲旅団が向かうGabr Sredi付近では、第21装甲師団が、英第4機甲旅団を襲っているが、こちらも第2活性化まで許可されたものの、どちらも半減・半減という結果で、今ひとつキレが悪い。第4機甲旅団も、M3ハニー軽戦車を失いつつ、まだその位置を保持している。 

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混沌としてきたのはリビアン・オマール周辺。第4インド旅団は、地雷原に入ってリビアン・オマールの陣地を攻めようとするも、ドイツ第15装甲師団の機関銃大隊に押し返され、なかなか攻撃位置に就けない。頼みのマチルダ戦車大隊も、III号戦車大隊に撃ち負けて後退。しかしニュージランド師団、第5ニュージランド旅団の歩兵部隊が、ドイツ軍歩兵を押し返し、III号戦車大隊にも砲撃でステップロスを与えていく。
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ハルファヤ峠では、第11インド旅団が、艦砲射撃の支援を受けつつ3個大隊がかりで攻めたのに、攻撃側敗退というていたらく。このターン、英連邦軍には航空支援も無く、辺境戦線での戦況ははかばかしくなかった……というあたりで、今日のソロプレイはここまで。

しかしBCSに触れるのは約1年半ぶりだが、相変わらずサクサク動かせるプレイ感が良い。ユニット密度もスタックも薄いしねえ……(この前のTSWWのユニット密度が酷すぎた)

【Battalion Combat Series】「Brazen Chariots」Operation Crusader Solo-Play AAR Part.2

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「BCS:Brazen Chariots」クルセイダー作戦、第4(1941年11月22日)ターン。このターンは両軍とも、補充のダイス目が最良だったため、損耗したステップを順当に回復。しかし戦闘4日目ともなると、疲労したフォーメションもあり。たとえ戦力が整っていても、疲労していては動けないのがBCSなのだ。

さて英連邦軍、第22機甲旅団と支援集団は、敗走するイタリア・アリエテ戦車師団を追ってトブルク方面へ前進。この2つのフォーメーションは、補給路を共有できる僚友(Buddy)部隊なので、ひとつの進撃路を進んでも問題ないが、後から登場した第1南アフリカ師団はそうではないため、混線を避けるために東へ転進。こういった進撃路の配分くらい、プレイ前にやっておけよという話。

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一方、地図盤中央のGabr Sledi付近では、ドイツ第15装甲師団が、イギリス第4機甲旅団のM3ハニー軽戦車を次々に撃破し(射撃戦でステップロスさせ)、3個戦車大隊を殲滅してしまった。しかしこの激戦で、第15装甲師団疲労レベルに2に上昇(最高で4)。

そこへ西から戻ってきたイギリス第7機甲旅団が、側面を突こうとしたが、2個偵察大隊から成るドイツ軍Wechmar戦闘団がこれを堅持。

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リビアン・オマール周辺では、ドイツ第15装甲師団と、ニュージーランド軍が一進一退の攻防。ニュージーランド軍は、対戦車砲の支援が付いた歩兵大隊でドイツ軍戦車を包囲し、あわよくば停止射撃戦(Stop Engargement)で、III号戦車をステップロスさせられるかと思ったが、そんな都合良くはいかなかった。一応、砲撃も浴びせてみたが、密閉型車両(Hard)ユニットにはヒットは与えづらく、ノーダメージ。  

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続いて第5(11月23日)ターン。この日は、史実で言うと「死者慰霊日」「死者の日曜日」(Totensonntag)と呼ばれる激戦が展開された日だが、なんと枢軸軍の補充がまったく来ないというアクシデント。すでに戦闘5日目にして、消耗しきった枢軸軍に嫌な予感が広がる……

さてイギリス第22機甲旅団と支援集団は、アリエテ戦車師団残余の歩兵部隊による遅滞行動に阻まれ、まだEl Ademにも達していない。イタリア軍もやるものよ。その東を、第1南アフリカ師団、このターンに増援として登場した第22近衛旅団が北上しているが、トブルク包囲網を脅かす位置まではまだまだ…… 

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Gabr Sledi付近では、先手を取ったドイツ第15装甲師団が、イギリス第7機甲旅団に射撃戦を挑むも、軽火器装備の南アフリカ装甲車大隊と「双方ステップロス」される始末。返す刀で、イギリス第7機甲旅団が、Wechmar戦闘団の2個偵察大隊はもちろん、第15装甲師団の戦車大隊を2個とも殲滅してしまった。

盤上には、まだWechmar戦闘団の司令部カウンターが残っているが、所属ユニットをすべて失ったため、フォーメーションが「壊滅」したものとみなして除去される予定。 

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リビアン・オマール周辺でも、第15装甲師団が、徐々に押される展開に。しかし第11インド旅団は、いまだに陣地を奪えずにいる。 

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ハルファヤ峠では、第4インド旅団が、ようやくひとつ目の陣地を占領。Bach戦闘団の歩兵ユニット(2ステップ=1個中隊)なんぞひとひねり、と侮ったのが運の尽き。旅団は活性化できないわ、ダブルOBJマーカーの恩恵は得られないわ、航空支援は当たらないわ、戦闘結果表でのダイス目は悪いわで、この展開となった……

とまあ、「死者慰霊日」の史実にふさわしく?枢軸軍が甚大な損害を被ったあたりで、今回のソロプレイはお開き。相変わらず、たとえ戦場が広くても、一度に動かすユニットは10個程度という、BCSの遊びやすさを再認識した。ただ、フォーメーションの割り振りと、補給ルートの選定については、両軍とももっと上手くやれるんじゃないかとも思った。ドイツ軍装甲師団も、能力値は高いが、補充が来ないため、いったん崩れるとどうしようもない感じ。そのあたりも、もう少し上手くやりたいなと。地形的にも平坦で、BCS初心者が取り組みやすい戦場だと思う。しかしそう考えると、地形的に面倒なバルジ戦をシリーズ第一作に持って来たのってどおよ、いやテーマ的にセールスポイントが高いのは分かるけど……(^_^;) 

Victory Games「Pacific War」

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1985年にVictory Gamesから発売され、1987年にはホビージャパンから日本語版も発売された「Pacific War」を、昨年末にネットオークションで購入した。その名の通り、アジア太平洋戦争を、作戦戦略級レベルで再現したゲーム。すでに昨年、GMTのP500にも再版タイトルとして登場し、発売のGOサインとなる閾値の500を大幅に突破して、今日現在2143個のプレオーダーが入っている人気ぶりだ。どうやらストレートな形での再版となるようで、自分もこの機会に新GMT版を買おうかと思っているが、再版される前に、まず旧版に触れておきたいなと。

実は自分も、日本語版が発売された当時、このゲームを買おうかと思ったが、入手にしくじったのだ。たしか大学3年生か4年生の頃(1990~1991年)、本当にその日は『よし、今日はVGのPacific Warを買うぞ』と意気込んで、神保町の、今は亡き書泉ブックマートに向かった。ところが、その少し前まで店頭にあったはずの、日本語版の「Pacific War」がもう売り切れていたのだ。あわてて、他のポストホビー等のお店にも行ったが、すでに日本語版発売から3~4年経過していたので、どこにも在庫が見当たらなかった。もちろんインターネットも無い時代。どこかにある在庫を探せるはずもなく『ああ、もうPacific Warは買えないんだなあ……』と途方に暮れたのを覚えている。さらにそのショックからか、その後、中学生時代から集めていたウォーゲームをいったん処分・整理したりして、そういうトリガーになったという意味も含めて、自分にとって因縁のゲームなのだ。21世紀を迎えてからは、ネットオークションで何度もこのゲームを見かけてはスルーしてきたが、ようやくこのタイミングでの入手と相成った。 

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さて、まず本作で目を惹くのが、正積図法を用いられた地図盤(フルマップ2枚)である。たしか最初にVGから英語版が発売され、雑誌「タクテクス」に紹介記事が出た時も、この地図盤が掲載されていて、とても印象的だった。すでに当時、ホビージャパンの「太平洋艦隊」でも、同じ範囲の地図盤を目にしていたが、それとは明らかに異質な感じがしたのだ。ヘクス列の向きからしても、オーストラリアや東南アジアが上、日本が右、ハワイが左下というのも『えっ?』と思ったり。

恐らくこの図法が用いられた理由のひとつは「任意の地点から特定の2方向の長さが等しく表される」ところだろう。本作のゲーム手順は、まず先手の作戦実施プレイヤーが艦隊などを移動させ、その後、後手の反撃側プレイヤーが艦隊などを移動させる。しかし反撃側が移動できる距離は、その警戒態勢によって異なる。奇襲を受けた場合はまったく移動できないが、警戒態勢なら作戦実施側が移動した距離と同じだけ移動できる。さらに要撃態勢なら、作戦実施側が移動した距離の2倍を移動できる。

たとえば、もの凄くおおざっぱに言えば、作戦実施側の日本軍艦隊が、トラック島からガダルカナル島(距離13ヘクス)へ移動したとする。もし連合軍が警戒態勢にあったなら、同じくガダルカナル島から13ヘクス離れた、オーストラリアのケアンズから艦隊を対応移動させられる、という感じだ。

これ当然、地図盤上の距離が現実とは等しくなかった場合『いや、そんな遠くからは対応できないはずだ』とか『現実の距離的には近いはずなのにヘクス数的に対応できないのはおかしい』となるので、距離的な正確さを求めるシステムあってのことなのだろう。 

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マップ2枚を重ねて、南太平洋だけの地図盤にすることも可能。 

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さらにこのゲームは、作戦実施側・反撃側の接触フェイズ……つまり戦略移動、作戦移動とそれに伴う索敵が終わると、続いて戦闘サイクルと呼ばれる1日単位の移動・戦闘をくり返す手順に入る。言うなれば、作戦海域に向かうまでの接触フェイズはゆったりとした時間の流れで進む(数日が過ぎる)が、作戦現場海域に入ると、細かい戦闘を再現するため、小刻みな時間の流れ(1日単位)になっていく。

このシステムを当時、雑誌「シミュレイター」のリプレイ記事で読んだ時は『なんだそりゃ?』 と思ったが、こうして現物を入手した今も『なんだそりゃ?』と感じている。

本作をデザインしたMark Herman氏は、SPI時代から名が知られ、今現在も「Churchill」やら「Versailles 1919」等、独特なシステムのゲームを世に送り出しているが、この「Pacific War」でも彼の天才ぶりというか、奇人変人ぶり(褒め言葉)が遺憾なく発揮されていると思う。

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こちらは、日本軍・連合軍用のプレイヤースクリーン。商船損耗表、各種戦闘結果表、索敵表が並んでいる。これも陸戦は、士気レベル差と、両軍部隊のステップ数の総和からダイスを振って決めるというシロモノ。海空戦も、すべて同じチャートに落とし込まれ(戦闘機の空戦だろうが、海上砲戦だろうが、対潜戦闘だろうが)、索敵表は、索敵機のエンジン数と距離、昼夜間、対象によって決定される。よりマニア向けの海戦ゲームほど細かくはないが、「War at Sea」のような陣取り合戦では満足できない自分には、これぐらいがちょうど良いかも。 

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こちらは、日本軍・連合軍用のディスプレイシート。上級ゲームとも言える、長期戦シナリオや戦略シナリオで用いる、より詳細なゲーム手順や、指揮/補給ポイントの管理、戦略爆撃などがまとめられている。しばらく出番は無さそうだ…… 

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こちらは、両軍の部隊展開表。2人で対戦プレイする場合は、両軍の部隊がどこにあるか隠すため、地図盤上には部隊マーカーだけを置いて動かし、中身のユニットは、こちらの展開表に置くことになる。まあ、ソロプレイなら隠す必要もないが、艦隊に関しては、主力艦隊と護衛艦隊を分けておかなければならないので、やはり必要と。 

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カウンターシートは9枚、カウンター総数2340個。艦艇は、軽巡洋艦以上は1ユニット1隻。駆逐艦以下は、1ユニット6隻。まあ、妥当なとこよね(駆逐艦まで1ユニット1隻のTSWWを眺めつつ)。やはり軽巡洋艦以上は、艦名ありが良いし。 

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艦艇ユニットの裏面には、長距離~中距離~近距離ごとの砲撃力や、艦砲射撃力、雷撃力、対潜力などが記載されている。 

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航空ユニットは、1ユニット=最大6ステップ、1ステップ=15機となっている。性能や練度を表す戦力レベルは3段階(優秀~普通~劣悪)。空戦力(A)、対艦力(N)、対地力(G)のはずだけど、たぶん日本語ルールブックのカウンター説明例、間違ってるよね? 

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地上部隊ユニットは、士気・対空力・ステップ数という、珍しい並び。一応、日本軍にしろ連合軍にしろ、師団毎に、微妙に士気差が反映されているので、陸上部隊にも個性は表現されている。 

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こちらは連合軍。青枠に白抜きはイギリス軍。赤いユニットは中国軍。 

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こちらが両軍の部隊マーカー。 

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航空基地は大小2パターン。そして艦艇や航空機、地上部隊や施設へのダメージを表す打撃マーカーがまるまるシート1枚分、用意されている。

シナリオは、小規模な戦闘シナリオが5本(真珠湾攻撃インパール作戦等)、中規模の短期戦シナリオが8本(珊瑚海、ミッドウェー、南太平洋海戦、マリアナ沖、レイテ等)、統合的な長期戦シナリオが6本(マレー侵攻、ガダルカナル作戦等)、フルキャンペーンと、1943年2月までを扱うハーフ・キャンペーンと揃っている。一応、陸海空の統合的なゲームだが、やはり主軸は海空戦。

自分の場合、ここ1年ぐらい、TSWWの海空戦(真珠湾ウェーク島、ミッドウェー)をプレイしてきて、作戦級と戦略級の中間レベルの海空戦でも結構面白いなあと感じてきた。とは言え、所詮TSWWは陸戦が主軸。だったら海空戦が主軸の作戦戦略級として、この「Pacific War」の短期戦シナリオあたり、自分には合っているかもなあと思っている。詳細な戦闘再現を求める海空戦マニアではないけれど、おおざっぱ過ぎるのも嫌という好みなので、ちょうど良いかなと。とりあえずGMT版が出るまでには、ソロプレイしておきたい。 

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